「会社でカップ麺買いだめ」を「非常用備蓄食」に昇格させるには備蓄品の管理をしっかりしないと、いざという時大変なことに…(出典:Photo AC)

東日本大震災以降、万一に備えて非常用食料を備蓄するようになると、顧客や取引先からは防災意識の面で一目置かれている会社がありました。ところがその評価とは裏腹に、従業員の小腹がすいた時に段ボールにあった非常食を消費していたのです。その会社は後にどう改善したのか、BCP策定支援アドバイザーの昆正和氏がその事例を紹介します。

あり得ない!とは
まさにこのこと

 Tさんの会社では、2011年の東日本大震災以降、万が一に備えて非常用食料を備蓄するようになりました。顧客や取引先からは防災意識の高い企業として一目置かれているのですが、フタを開けてみればなかなか苦労することが多いのです。

 同社のBCP(事業継続計画)には「非常時には社内にストックしてあるインスタント食品を帰宅困難者に提供すること」と記載されていますが、非常時に確実に備蓄品を分け与えられるかどうかはまったくもって未知です。というのは、非常用備蓄とは言いつつも、それは以前から従業員用に買いだめしておいたカップラーメンのことにすぎなかったのです。

 カップラーメンが備蓄品として“認定”されるまでは、いつでも誰でも小腹がすいた時に段ボールから取り出して食べることができました。たまに段ボールをのぞいてみて「だいぶ減っちゃったねえ…」と思ったら、総務に頼んでまた1箱注文して取り寄せる。その繰り返しでした。ではBCPの備蓄品として認定された後はどうなのかと言えば、「備蓄とみなすには少し少なすぎやしないか?」ということで、いつもは1箱ストックしてあったものを2箱に増やしただけです。数量や消費の管理がかなりアバウトであることは、これまでと何ら変わりありません。