仮想通貨の普及やインフルエンサーとファンが形成する評価経済の登場により、資本主義を侵食し、既存の経済システムでは成り立たなくなりつつある(写真はイメージです)

要約者レビュー

 2016年後半からビットコインが日本でも急速に普及し、2017年からは、仮想通貨ベースの資金調達手段であるICO(Initial Coin Offering)が盛り上がりを見せている。お金や経済のあり方に新たな潮流が生まれていることは明らかだ。そんな中、評価経済の台頭を象徴するように、個人の価値を交換できるVALUや、時間を売買できるタイムバンクといったサービスが話題を呼んでいる。このタイムバンクを生んだメタップス代表取締役社長の佐藤航陽(さとう・かつあき)氏が、資本主義の「先」にある世界を語り尽くすのが本書『お金2.0』だ。

『お金2.0』
佐藤航陽、263ページ、幻冬舎、1500円(税別)

 お金の正体をつかみ、より良い社会の仕組みを自らの手でつくる――。こうしたビジョンをもとに、著者は事業を通じて、数億人の膨大な行動データとお金の流れを分析してきた。そうしてあぶり出された普遍的な経済のメカニズムの解説は、極めて革新的で実践志向である。仮想通貨やブロックチェーン技術のようなテクノロジーの発展と、新たな経済システムの台頭が結びつけられ、既存の価値観がガラッと転換されていく様は痛快そのものだ。テクノロジーの最前線と実社会での活用の断絶を埋めてくれる、まさに現在求められている一冊といえる。

 著者は、資本主義の欠点を補う考え方として、価値を軸として社会が回っていく「価値主義」という枠組みを提示する。新たなパラダイムのもとで、私たちはどのような働き方やビジネスモデルを考え、試行錯誤すべきなのか。

 新しい経済システムが複数共存する世界への旅路はまだ始まったばかりである。その序幕を本書で存分に楽しんでいただきたい。  (松尾 美里)

本書の要点

(1) シェアリングエコノミー、仮想通貨やブロックチェーンを駆使したトークンエコノミー、評価経済は、分散化という潮流の一部である。最も規模が大きく成功しているトークンエコノミーが、ビットコインだ。
(2) 自動化と分散化が進むにつれ、「自律分散」のモデルが多くの産業のビジネスモデルを覆し、次世代の成功モデルになることが予測される。
(3) お金などの資本に変換される前の「価値」を中心とした経済システムの考え方を「価値主義」と呼ぶ。今後は価値主義が普及し、複数の経済システムが並存していく。