創刊170年以上の伝統を持ち、グローバルなエリート層を中心に、世界で150万部超を誇る英国の『エコノミスト』誌。このほど、AI(人工知能)やバイオテクノロジー、医療やVR(仮想現実)といった各分野のテクノロジーを各分野の記者と社外執筆者が展望した『2050年の技術 英「エコノミスト」誌は予測する』(文藝春秋)が発刊された。本書を企画・編纂した同誌編集局長のダニエル・フランクリン氏に、本を通じて見えてきた未来社会のテクノロジーの在り方などについて聞いた。(『週刊ダイヤモンド』編集部 竹田幸平、山本輝)

ダニエル・フランクリン・英『エコノミスト』誌 編集局長 Photo by Kazutoshi Sumitomo

――『2050年の技術』として企画した本書は、なぜ「2050年」に着目し、そして「技術(テクノロジー)」と組み合わせたのでしょうか。また、編纂を通じて分かった「意外な発見」があれば教えてください。

  本書は、以前出版した『2050年の世界』(文藝春秋)の姉妹本です。まず、「2050年」に着目した理由は、元々私は『エコノミスト』誌で、翌年を予測する読み物の編集をしていますが、その中で「もっと長期的な視点で見るとどうなるのだろう」との考えが芽生えたためです。「1年先」というのは非常に具体的で、その視点も重要なのですが、長期的に見るともっと大きな地殻変動のような流れを捉えられるのではないか、と考えました。

 そして、長期的に物事を見ることで、逆にわれわれが直面する問題が明らかになってくるのです。例えば、人口問題。高齢化が、国の経済や就労人口、年金やテクノロジーにどういう影響を与えるのか、といった具合です。2050年というのは、そうした長期的な視点を表すメタファー(暗喩)というわけです。

 次に、「テクノロジー」に焦点を当てた理由は、今後、テクノロジーが人々の生活や社会、ひいては全業界に影響を与える主要な分野だからです。その観点から、深く掘り下げてみる価値があると思っていました。