では北朝鮮は「南北関係の蜜月」を演出することで何を得たいのか。

 米韓関係筋は「北朝鮮は、韓国を米国の攻撃に対するシールド(盾)にするつもりではないか」と語る。

 米軍は最近、核兵器を搭載できるB52戦略爆撃機6機やステルス性能を持つB2戦略爆撃機3機をグアムに前進配備した。

 ソウルの情報関係筋によれば、北朝鮮側は最近、米国や韓国の専門家らと頻繁に接触し、トランプ米政権が本気で攻撃する考えを持っているかどうか探っているという。

 北朝鮮も従来はもっと強気だった。南北関係の改善で韓国を揺さぶり、国際社会の制裁網に穴を開け、あわよくば米韓合同軍事演習の中止や縮小などももくろんでいた。

 しかし、昨秋ぐらいから、米国・ワシントンで北朝鮮に対する、「鼻血作戦」と呼ばれる限定先制攻撃案が取りざたされるようになり、一気に緊張が高まっている。

 北朝鮮は当面の間は、米国の攻撃を避ける一時しのぎの策として韓国に近づいたと言えるだろう。

“知米派”いない文政権首脳「5人組」
パイプなく国際世論ともズレ

 これに対し、韓国政府はどう対応して来たのか。

 2月10日、青瓦台(韓国大統領府)で、金与正らとの会談に臨んだのは、文大統領のほか、趙明均統一相、徐薫国家情報院長、任鍾晳大統領秘書室長、鄭義溶国家安保室長の計5人だった。

 1月1日、金正恩が「新年の辞」で、平昌冬季五輪への代表団派遣や「南北関係改善」を表明したとき、青瓦台に急遽集まって対応策を協議したのも、この5人だったとされる。

 問題なのは、この5人の中に「知米派」と呼ばれる人物がいないことだ。

 このことが、今回、五輪を舞台に展開された「南北関係改善」と「米韓連携」が明暗を分け、米韓がぎくしゃくする要因になった。