地方紙もWeb版に挑戦!
異彩を放つ秋田魁新報社

 つまり、報道としての独自性と質の高さがあることに加えて、知識人たちも加わった、記事に対する良質な議論が交わされるクローズドな場を、NewsPicksは提供している。この価値が、わざわざお金を払うに値するものと評価されていると言えそうだ。

 そのように、お金を払ってでもWebに溢れる言説の中から良質な情報を効率よく得たい層が、日本国内にも確実に存在することが、ニューズピックスの黒字化達成で可視化された。とはいえ、そうしたニーズを持つ人はそう多くはない。同アプリの有料会員数は17年9月時点で4万9000人ほどだが、無料会員数は約266万人に上る。有料会員の多くが、大都市圏で暮らす情報リテラシーの高い層であろうことは想像に難くない。

 一方、全国紙の電子版では『日経電子版』が有料会員数50万人超、『朝日新聞デジタル』が同27万5000人となっている。いずれも、紙版の購読者なら月額1000円ほどの追加で全記事が読めるが、電子版のみの購読なら、紙版と大差ない月額4000円ほどの料金がかかる。

 ここで日経が朝日よりも先行しているのは、電子版オリジナル記事が約600本と、紙では読めない記事を多く出しており、情報量での差別化ができているからだろう。ただし『朝日新聞デジタル』には電子版記事が月300本まで月額980円で読めるコース設定もあり、その割安さが有料課金の心理的ハードルを乗り越える突破口になる可能性もある。

 だがいずれにせよ、両紙の紙版の購読者数からすれば、まだまだ比較にもならない数でしかない。朝日や日経ですらその程度であるなら、雑誌や地方新聞などの中小メディアがWeb版をどうマネタイズすればよいのかは、頭の痛い問題だ。

 しかし昨秋、興味深い記事を『MACHI LOG』というWebメディアで見かけた。「秋田で地方紙は生き残れるか? ローカルメディアの資産と価値」と題されたもので、秋田魁新報社による電子版読者獲得への挑戦を扱ったものだ。

 同記事によると、秋田魁新報は県内普及率が約54%と、大手新聞社がわずか数%に留まる秋田県内で他紙を圧倒するシェアを持つ地方紙だという。しかし、人口減少や若者の新聞離れなど将来への不安要素は大きく、16年4月から電子版の購読サービスを開始した。そして17年10月、電子版の購読料を分かりやすくアピールする「演歌編」や「ラップ編」のテレビCMを同紙が流しはじめたことに筆者の高橋慶彦氏が着目。それを切り口に、地方新聞社の存在価値と今後の生き残り策を考察している(「演歌編」の動画はこちら)。