フェイクニュース。その名の通り「嘘のニュース」と訳されるこの現象が、今注目を集めている。「事実とは異なる」という点でデマと同じように捉えられがちなフェイクニュースだが、「メディア」らしい形式をとるサイトが行うことで、より信じてしまう人が増える。Twitterなどから発信された事実ではない情報が、質の低いメディアで「ニュース」という形をとって配信され、拡散されてしまうことが社会問題となっているのである。今回は、実際にフェイクニュースに騙されてしまった、という人の声を集めた。なぜ人はフェイクニュースにコロッと騙されてしまうのか。そして、フェイクニュースがあふれる現代において、どうすれば騙されることなく、正しい情報を得ることができるのかを考える。(取材・文/岡本実希、編集協力/プレスラボ)
大統領選に影響も……
フェイクニュースが社会を揺るがす
FacebookやTwitterなどのSNSの浸透とともに急増したフェイクニュースが今、問題となっている。簡単に言えば嘘のニュース、すなわちデマといえるフェイクニュースだが、問題はその拡散力と影響力だ。
2016年のアメリカ大統領選挙においては、「ローマ法王がトランプ氏を支持している」「クリントン氏がイスラム過激派組織に武器を売却した」などというフェイクニュースが広まったことで、選挙戦に大きな影響を及ぼしたと言われている。アメリカABC ニュースは、選挙戦において、大手メディアの記事よりもフェイクニュースの方がFacebook上で話題に上ることが多く大きな影響をもたらしたと報じるなど、その影響力は深刻だ。
イギリスオックスフォード大学出版局が2016年を象徴する単語として選んだ「post truth」は、もはや人々が真実であるかどうかに関わらず心を揺さぶられるようなニュースを求め始めているこうした現実を、風刺しているものだと言える。