公取がタレントの移籍制限を問題視
育成費用を回収する目的でもアウト
公正取引委員会は2月15日、「人材と競争政策に関する検討会」の報告書を発表した。「複数の発注者(使用者)が共同して役務提供者に対して支払う対価を取り決めることは、原則として独占禁止法上問題となる」といった内容はいいことだと思う。
問題は、この報告書で「移籍・転職を制限する内容を取り決める行為が、役務提供者の育成に要した費用を回収する目的で行われる場合であっても、通常、当該目的を達成するための適切な他の手段があることから、違法性が否定されることはない」とされていることだ。
筆者は、芸能界などの事情に詳しくないので、移籍制限が契約書に明記されているのか、移籍したタレントは使わないという業界内の暗黙の申し合わせがあるのかは知らないが、そうした制限があるであろうことは、うすうす認識していた。
NHKドラマ「あまちゃん」で人気となった能年玲奈さん(当時。現在はのんさん)が、独立の際にトラブルとなったことは記憶に新しいだろう。そして、「タレントの移籍の自由を奪うということは好ましくない」と考えている読者も少ないのではないだろうか。