新しい片づけ術として一世を風靡した「断捨離(だんしゃり)」ですが、「モノが片づいてスッキリした!」は「断捨離」の入口にすぎません。家の中の不要・不適・不快なガラクタを捨てるということは、お気に入りのモノだけを残すことであり、その繰り返しによって、マイナスの思考や感情、他者から押しつけられた観念(価値観)も手放すことができます。お金、健康、夫婦、親子、時間、結婚、離婚、家事、終活……の悩みも消えていきます。その結果、身も心も軽くなり、本当に大切なものが手に入るようになり、人生が大きく変わっていくのです。こうした断捨離の究極の目的を伝えるために、断捨離の提唱者である著者が集大成としてまとめた新刊『人生を変える断捨離』の中から、ポイントとなる項目を12回にわたり抜粋してご紹介していきます。
ごく簡単なところから始める
クラター・コンサルタント。一般財団法人「断捨離®」代表。
早稲田大学文学部卒。学生時代に出逢ったヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」に着想を得た「断捨離」を日常生活の「片づけ」に落とし込み、誰もが実践可能な自己探訪メソッドを構築。断捨離は、思考の新陳代謝を促す発想の転換法でもある。「断捨離」の実践的メソッドは、現在、日本のみならず海外でも、年齢、性別、職業を問わず圧倒的な支持を得ている。初著作『新・片づけ術 断捨離』(マガジンハウス)を刊行以来、著作・監修を含めた多数の「断捨離」関連書籍がアジア、ヨーロッパ諸国でも刊行され、累計400万部のミリオンセラーになる。現在、書籍の出版はもとより、Web・新聞・雑誌・TV・ラジオ等さまざまなメディアを通して精力的な発信活動を展開している。
断捨離とは、要するに、「要らないモノは捨てる」「出す」というだけなのですが、これほど言葉を尽くして説明するのには、それなりの理由があります。
それは、捨て方にも真っ当な筋道があるからです。
初心者ほど、捨てるとなるとまず、自分にとって一番捨てにくいモノを連想します。
本や洋服など、自分にとってこだわりの強いモノから手をつけようとしても作業ははかどらず、余計に混乱して達成感も得られず、そこで諦めてしまう人がいかに多いことか……。
断捨離は「加点法」。
つまり、少しでも、とにかく「できたこと」にフォーカスするのです。
以前ブームになった大学受験の勉強法に、「簡単な小学校のドリルの問題を解くことでやる気を出す」という方法がありました。
高校生ですから、当然、小学校のドリルであれば満点を取ることができます。
そうすることで「できた」という小さな成功体験を得ることができます。
その成功体験を重ねれば自信になります。
まさにその感覚で、断捨離もごく簡単なところから着手することです。
その積み重ねによって、大きな課題にも立ち向かえるようになるのです。
私たちは、家庭で、仕事で、なかなか思うようにいかないことも多々抱えていて、どうしても自分を減点せざるを得ないもの。
ですからせめて、断捨離においては「できた、捨てられた」と1つひとつ自分を褒めていき、自分への“信頼貯金”を貯めていくのです。
そうすると、ムダなエネルギーの消耗が避けられ、モノに向き合う活力も湧いてきます。
「お財布からやろう」「デスクの引き出し1つから始めよう」というと、「そんな小さなところが片づいたところで、住まい全体を考えると途方に暮れそう……」と言う人もいますが、これは1つの心理的なテクニックでもあります。