激化する
次世代の自動車開発競争

 多くの家電、ITメーカーがコネクテッドカーの開発に乗り出すにつれ、電気自動車などの開発競争は熾烈化するだろう。この中、世界の大手自動車メーカーは、グーグル系のウェイモなどから自動運転のシステムを調達する方針を固めている。

 それは、研究開発のコストを抑え、競争や技術の変化に対応するためには重要だ。同時に、CASEの根幹をなす走行システムを外部に頼ると、その自動車メーカーの差別化要因はなくなる恐れもある。言い換えれば、自動車メーカーは車体という1ユニットの供給メーカーとなり、次世代自動車の下請け的な存在となる可能性がある。そうなると、価格交渉力などを発揮することは難しいだろう。

 トヨタの取り組みは、他社に比べて壮大であり、リスクがあると考えるアナリストは多い。しかし、企業として持続的な成長を追求するためには、自前の強みを発揮することは欠かせない。そう考えると、自社でイノベーションを実現し、新しいプロダクトの提供を通して需要を作り出そうとするトヨタの発想は、企業の本来あるべき姿といえる。

 今後は、これまで以上のスピード感で新しい技術を開発することが欠かせない。そのためには、ITベンチャーの買収や、異業種との提携などは強化されるべきだ。

 トヨタがCESに出展したe-Palette Conceptの考えが実現すれば、それは移動、ビジネス、物流、宿泊サービスなど多様な経済活動の基盤=プラットフォームになりうる。

 現時点では、プラットフォームの概念にはあいまいな部分も多い。その分、将来の展開は予見が難しい。見方を変えれば、他社に先駆けてプラットフォームのコンセプトをまとめ上げ、実用化することができれば、先行者利益を手にすることができるだろう。

 長期的に考えると、特定の用途を念頭に置いたものよりも、経済活動の基盤となるシステムの開発が重要性を持つだろう。トヨタの経営戦略はその変化に対応することを重視している。多様な企業、人材の発想をうまく束ね、従来以上のスピード感を持って新しいモビリティのコンセプトを具現化することができるか否かが、トヨタの将来を左右するだろう。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)