今回のオリンピックでの日本選手の活躍には目をみはるものがあったが、その裏にはありとあらゆる小さな要素の積み重ねがあった。なかでも見逃せない要素の1つとして「睡眠」への意識改革がある。日本スケート連盟でも、データ測定によって選手を「朝型」「中間型」「夜型」に分類し、適切な睡眠時間と起床時刻を割り出すなど、今大会はフィギュアの代表選手に対して最大限の睡眠対策を取って臨んだということが報道されている。

小平選手が今大会で強くこだわったこととは?

小平奈緒、実は試合直前「○○」に徹底してこだわっていた

 日本スピードスケート女子史上初めて金メダルを取った小平奈緒選手も、大会前、「最後の課題は睡眠」だと言い、直接寝具メーカーに連絡を取って自分用のマットレスを選定、「マイマットレス」を選手村に持ちこんだ。

 さらに、選手村の寝具が想定より硬かったこともあり、現場からSOSを出して、メーカーから追加のマットレスを調達までした。その理由は、練習方法以外に食事など生活習慣全般に目を配るなかで、「睡眠」こそがとりわけ重要だと気づいたからだという(「Sponichi Annex」2月19日、「週刊女性」3月13日号)。

 その他にも、アスリート界では、昨年引退を表明したテニスの伊達公子選手も、回復には「睡眠が一番」と語るなど、いまスポーツの世界では「睡眠」に極めて大きなフォーカスが当たっている。

 実際、このところの世界における睡眠科学の発展は目覚ましく、いま、世界の一流アスリートたちやチームは最良の睡眠手法を必死に模索し、最新のメソッドを貪欲に取り入れている。

 そんな睡眠の指導をしているプロフェッショナルに、オリンピック代表に留まらず、マンチェスター・ユナイテッドやレアル・マドリード、アーセナルをはじめ、世界最高峰のサッカーチームから、ツール・ド・フランスの最強チーム「チームスカイ」、アメリカのNBAやNFLにまで睡眠指導をしてきた伝説的な「スリープコーチ」がいる。

 その名はニック・リトルヘイルズ。これまで理論的な研究者や専門家のメソッドを実践しようとしてもうまくいかなかったアスリートたちが、彼がコーチをはじめると次々と成果が上がるようになり、続々と世界の有名チームから声がかかっているという。

 海外メディアでも、「クリスティアーノ・ロナウドに眠り方を教えているコーチがいる」「スリープコーチとは何をしているのか」などと報道されてきたが、このたびそのメソッドの詳細を著書『世界最高のスリープコーチが教える究極の睡眠術』にまとめた。

 同書では、寝室の光の設定から、枕やマットレスなど寝具の調整、いつ寝ていつ起きるかの管理等、眠りの質を最大限に高めるために必要なあらゆることが網羅されている。

 さまざまなアスリートがパフォーマンスを大幅に改善してきた貴重な方法を初めて明かしたということもあり、本国イギリスをはじめ、世界各国で話題となっている。