「何時までに寝なくては」というプレッシャーは無意味

 では、その方法とはいかなるものか。

 たとえば睡眠時間の管理については、最も大事なのが「毎日、同じ起床時刻を必ず守る」こと。これによって体内時計をリセットできるので、身体が朝から夜まで一定して力を発揮できる状態になる。

 その一方、「就寝時刻はバラバラでもかまわない」。たったこれだけのことで毎朝の体調が段違いに変わってくる。

 また、同書のアプローチでは、「90分」を1サイクルと捉えている。この90分を週に何サイクル取れるかさえ意識していれば、「何時にふとんに入らなくてはいけない」「今日も7時間眠れなかった」などとプレッシャーを受けたり嘆いたりすることはなくなり、毎日気楽に眠れるようになる

 ひとたび自分に合った一晩の「サイクル数」を見つければ、あとはその理想のサイクル数を1週間に4回程度取ることを目標にすればいい。

 眠りの質を上げるための「就寝前のルーチン」や「起床後のルーチン」として、簡単なエクササイズや呼吸法まで、最新の研究に基づいた数々のメソッドが紹介されている。質のいい眠りが毎日取れれば、睡眠時間の問題で苦しむことは自然となくなる(メソッドの内容については、N・リトルヘイルズ「レアル、マンUがやっている『疲れが消える』独特の眠り方」〈「ダイヤモンド・オンライン」3月1日〉でも解説されている)。

 世界のアスリートの間で注目の的になっている「睡眠」。その科学的なアプローチはいま驚くほどのレベルに達している。アスリートに限らずとも、いい眠りの方法を知っているかどうかは人生の質を大きく左右する。本書で、世界でも最も敏感な人たちが実践しているさまざまな方法を取り入れてみてはいかがだろうか。