「満額回答」ではないが
思ったほど「骨抜き」でもない

 多数派の力強さを、山東氏は自身の政治活動の中で目の当たりにしてきている。

「以前、葉たばこ農家の方たちに転作をしてもらえないかという案が出ました。ちょうと中国で漢方の生産者が減っていたので、これなどいいのではと調査したところ、漢方原料とは比べものにならないほど、葉たばこの買取価格が高かった。転作などありえない額です。だからこそ綿々と続いてきたということなのでしょう。そういう意味では、まだまだ日本はたばこ天国ですね」(山東氏)

 そう感じているのは、羽鳥理事も同じだ。政府や自民党の検討会に呼ばれ意見を述べる団体は、医師会など医療系団体に対して、飲食店などの団体が圧倒的に多い。「意図的だなと感じることもある」という。だが、それ以上にこちらの無力さを感じるのは、飲食店の業界団体の方たちがこぼした「本音」だという。

「会が終わって、みなさんとざっくばらんに話してみると、『先生たちの言うこともわかる。でも、業界の代表としては無理なんです』と言う人も多い。我々が禁煙にしても売り上げは減らないというデータで説明しても、『個人的には理解できるが、多くの飲食店には恐怖感がある』と、どこまでいっても平行線なのです」(羽鳥氏)

 こういう圧倒的なアウェー感の中で、受動喫煙防止対策の必要性を訴えてきた山東会長や羽鳥理事からすれば、今回の規制案は確かに「満額回答」ではないが、世間で言われるほど「骨抜き」ではない。むしろ、これまでの経緯を踏まえれば、「大きな一歩」なのだ。

 羽鳥理事は「飲食店というポイントだけではなく、病院などの施設で禁煙が明記されていることなどもしっかり評価すべきだ」と言う。