札幌市では来年度、「ひきこもり実態調査」における対象者の年齢上限を39歳から64歳に引き上げる方針だという。遅きに失した観はあるものの、内閣府が追加調査を行うのをきっかけに、全国の自治体では、従来39歳までだった「ひきこもり支援」対象者の年齢制限を、撤廃する流れが止まらない。

 以前から北海道内で、40歳以上の「ひきこもり実態調査」などを要望してきた当事者団体でもあるNPO法人「レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク」の田中敦理事長は、こう語る。

「残念ですが、まだまだひきこもりに対する理解は低く、彼らに抱かれるイメージは肯定的なものとは言えないです。そのため当事者は、ひたすら世の中で息を潜めて生き、大多数の人たちの枠組みに合わせていかねばならないのです。だから悩むのだと思います。引きこもりでも生きていける社会の実現を願いたいです」 

生きているだけでいいんだ
「助けて」さえ言ってくれれば

 そのために大事なのは、まず孤立世帯の入り口である「家族への支援」だ。「生きてるだけでいいんだ」という空気を周囲に広めていかなければ、地域に数多く潜在化している当事者家族は、安心して「助けて」の声も出せない。
 
 引きこもり家族会の全国組織である「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」は、3月18日12時30分から、「“地域”から“ひきこもり長期高年齢化” を考えるシンポジウム」を大田区産業プラザPIO5階のコンベンションホールで開催。長期高年齢化に関する声明や調査結果を報告するとともに、地域の支え合いや交流が果たす役割、取り組みについて議論するという。

 京都府から助成金を受け、「40才からの居場所研究会」を運営しているNPO「若者と家族のライフプランを考える会」(LPW)の河田桂子代表は、「80代の親亡き後、それまで親の介護をしてきたケアマネージャーが、うずくまるように引きこもっていた60初頭の息子さんの面倒もそのまま見ている。運よくつながっていれば、たまたま残された子の面倒を見れるけど、それでも(介護を使える65歳になるまでは)ボランティアで動いている」のが現状だと明かす。

「たまたま、そういう人が見つかって、ボランティアで動いていなかったら、この息子さんも生きていけないんだろうなって思うんです」

 ケアマネージャーは、こう話していたという。

「こういう人をどこにつないだらいいかわからなかった。でも放っておけないので、病院の訪問看護などを使っている」

 設計上「働くことが前提」の中高年世代には、支援に入ろうにも「就労」以外の選択肢が想定されていない。潜在化していく「8050」世帯の問題は、「制度の谷間」に置かれているところに難しさがある。

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(ジャーナリスト 池上正樹)