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データサイエンティストの冒険

どうすれば日本企業はアナリティクスを
イノベーションにつなげられるのか?

工藤卓哉 [アクセンチュア]
【第20回】 2018年3月15日
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データ分析を活用した戦略の有無が
イノベーションの鍵を握る

 こうした全体最適のアプローチを日本でもさらに推進するため、2017年2月に設立された通信大手のKDDIとアクセンチュアの合弁会社である株式会社ARISE analyticsではCSO(Chief Science Officer)として、データ分析を活用した日本発の優れたイノベーションを起こせるよう取り組んでいます。

 「モノづくり」へのこだわりが強い日本では、「いいものをつくれば、売れる」といった技術革新に対する過度な期待が根強く、イノベーションというと、これまでは製品開発が基点になるケースが多かったと言えます。

 ただ、これだけモノや情報が氾濫した現代社会では、製品そのものを通じて革新的な付加価値を生み出すのは、ますます難しくなっています。むしろ大事なのは、いかに一人ひとりの顧客に価値を感じてもらえるかであり、新たなイノベーションを創出するためには、顧客体験と利益の仕組みをどのようにデザインしていくかという戦略が欠かせません。そして、それを実現する上で鍵となるのがデータ分析なのです。

 また、将来的には企業や組織が自前のデータを外部に公開し、共同活用を目指す第3段階のオープンイノベーションの動きもさらに加速するでしょう。日本企業が世界で勝ち残っていくためには、企業や組織、または業界を超えた連携を進め、さまざまなビジネス情報をAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)やSDK(ソフトウェア・デベロップメント・キット)などで社外に積極的に公開し、オープンイノベーションを促進していくことが必要です。

 これにより、他業種やスタートアップなどとの協業、オープン・ソースを活用した最先端の分析基盤の構築など、企業グループや業界の枠を超えたコラボレーションの輪が広がれば、新たなビジネスモデルの構築にもつながるでしょう。

 デジタル化により業界の垣根がなくなりつつある中、データの利活用をめぐる動きも「閉じた」形から「より開かれた」形に領域を広げており、今後も既成の枠組みや概念にとらわれない形でイノベーションが加速することを期待しています。

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工藤卓哉
[アクセンチュア]

Accenture Data Science Center of Excellence グローバル統括 兼
アクセンチュア アプライド・インテリジェンス マネジング・ディレクター
ARISE analytics Chief Science Officer (CSO)

慶應義塾大学を卒業しアクセンチュアに入社。コンサルタントとして活躍後、コロンビア大学国際公共政策大学院で学ぶため退職。同大学院で修士号を取得後、ブルームバーグ市長政権下のニューヨーク市で統計ディレクター職を歴任。在任中、カーネギーメロン工科大学情報技術科学大学院で修士号の取得も果たす。2011年にアクセンチュアに復職。 2016年11月より現職。 データサイエンスに関する数多くの著書、寄稿の執筆、講演活動を実施。


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近年テクノロジーと数理モデルによってもたらされるアナリティクスが、ビジネスを大きく変えようとしている。データの高度な活用から次の打ち手を見出す力、アナリティクスの決定的な優位性を最前線から解説する。

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