東大とアクセンチュアがタッグを組んだ理由

 前回は、私とわれわれの仲間たちが、社会貢献活動の一環として取り組んでいる、若者へのSTEM教育の提供をテーマに書きました。今回はその活動の中で、もっとも新しい試みである「チャレンジ!!オープンガバナンス2016」(以下、COG)を紹介しようと思います。

「COG」は、地域住民と自治体が協働して地域の課題を解決するためのアイデアを競う、市民参加型のアイデアコンテストです。

 主催は、東京大学公共政策大学院「情報通信技術と行政」研究プログラム、共催は、東京大学ソーシャルICTグローバル・クリエイティブリーダー育成プログラムで、われわれアクセンチュアは、企画やコンテストの運営支援を担うプロデューサー役としてこのコンテストに関わっています。

「COG」の特徴は、何といっても単純にエントリーされたアイデアやプレゼンテーションの善し悪しのみで優劣を判断するコンテストではないという点です。

 もちろん「COG」もアイデアの新規性や想定される効果、展開性、実現可能性を含めて評価を下します。しかし大きな違いは、アイデアの内容だけではなく、参加チームと自治体が協働し、いかにして課題解決に向けて取り組もうとしているのか、そのプロセスについても評価の対象となる点にあります。

 そのため、ほかのアイデアコンテストにはあまり見られない条件を課しています。

 1つが、参加チームのリーダーとなるメンバーに対して、対象自治体に「住む」か「通う」、もしくはその地域課題の解決に強い熱意があるなど、何らかの形で「縁」を持っていること。そしてもう1つが、自治体に対しての条件で、参加チームからの問い合わせや追加データの提供、ミーティングの設定など、応募後のサポートを強く要請している点です。

 いずれの条件にも、せっかく生み出したアイデアをアイデアで終わらせず、参加チームと自治体が協力し、具体的な施策として実行しうるレベルにまで高めてほしいという願いを込めました。

 自治体からの課題開示からアイデア提出までの締切期間を、4ヵ月近くもとっているのもそのためです。

 そういう意味で「COG」は、いわゆるイベント的なコンテストではなく、「課題解決の地産地消」を実現するため、さらに一歩踏み込んだ、新しい形のアイデアコンテストだといえるのではないでしょうか。