日本からは高木美とチームパシュート金メダルメンバーの菊池彩花(30)が出場。高木美は1日目の500mで1位、3000mで2位、2日目の1500mで1位、5000mで4位に入り、最近10年間で5回、本大会を制しているオランダの女王イレイン・ブスト(31)を退けて総合優勝した。高木美が得意とするのは中距離。速さと持久力を兼ね備えたオールラウンダーだが、平昌五輪では個人・団体と獅子奮迅の奮闘を見せた疲れも残っていたにちがいない。しかも競技は2日間で短距離から長距離まで4回滑る過酷なもので、相当きつかったはずだ。この厳しい条件で世界一を勝ち取ってしまうのだから立派というしかない。競技場を埋めた2万5000人もの大観衆は偉業の価値を知っており、地元オランダの英雄が負けたにもかかわらず、高木美を歓声で称えた。

 この大会での日本女子の成績は90年大会での橋本聖子氏(現参議院議員)の2位が最高。他に3位に入ったことが4回あるが、優勝は高木美が初めて。その意味でも価値がある。なお、菊池も総合7位と健闘を見せた。

 高木美といえば平昌五輪で姉の菜那(25)とともに栄冠をつかんだことが記憶に新しい。ふたりで金メダル3個、銀と銅を合わせて5個のメダルを獲得したことから日本五輪史上最強の姉妹ともいわれた。この歓喜の時を迎えるまで姉妹の間にはさまざまな葛藤があったことがメディアで伝えられたが、姉妹あるいは兄弟が揃って栄冠を勝ち取ることはめったにないことだ。

成績で比較されがち
兄弟姉妹アスリートはつらいよ

 平昌五輪と同時期に行われた競技で明暗を分けた兄弟がいた。陸上長距離の双子の兄弟、設楽啓太と悠太だ。五輪閉会式があった2月25日に行われた東京マラソンには弟の悠太が出場。マラソン日本記録を更新する2時間6分11秒で走り切った。マラソンの記録更新は16年ぶりであり、待望久しい快挙だったことから日本実業団陸上競技連合から1億円の報奨金が贈られた。

 一方、兄の啓太はその翌週に行われたびわ湖毎日マラソンに出場。20キロ手前までは先頭集団につけていたが、次第に遅れ出し、2時間18分39秒で26位に終わった。設楽兄弟は東洋大学在学時、ともに箱根駅伝を1年から4年まですべて出場。2枚看板として2度の優勝に貢献している。大学時代の2人の成績は甲乙つけがたいものがあるが、実業団で競技をするようになってから成績に差が出始めた。兄の啓太にはアキレス腱痛などの故障が相次ぎ、思うような練習ができなくなったためだ。だが、本人はこうした不運にも決して腐ることなく復活の道を着実に歩んでいる。びわ湖毎日マラソンも自己ベストで完走できたことを前向きにとらえているようだ。