低金利の今は、少しでも高めの金利商品にお金を預けたいと思う人が増えています。しかし、そんな心理を逆手にとった、非常にわかりづらい商品も売られるようになりました。前回は、銀行で預金代わりに勧められてしまう「一時払い終身保険」でしたが、今回は「セット商品」。
3カ月など短期間だけ金利がいい商品のカラクリとは?

高金利に見える、定期預金と
投資信託や外貨預金のセット商品

 最近、銀行のチラシやHPで目立つのは、定期預金と投資信託のセット商品です。「マネープランセット」とか「資産作りセット」などといった商品名がついています。銀行によっては、定期預金と外貨預金のセットもあります。

 円定期預金の金利が通常より高くなるのがセールスポイントで、銀行の人に聞くと、とても売れ行きが好調だとニコニコしていました。

深田晶恵(ふかた あきえ) ファイナンシャルプランナー(CFP)、(株)生活設計塾クルー取締役。外資系電器メーカー勤務を経て96年にFPに転身。現在は、特定の金融機関に属さ ない独立系FP会社である生活設計塾クルーのメンバーとして、個人向けコンサルティングを行うほか、メディアや講演活動を通じて「買い手寄り」のマネー情 報を発信している。15年間で受けた相談は3000件以上。日本経済新聞夕刊、日経WOMAN、日経ビジネスAssocie等でマネーコラムを連載中。お もな著書に『30代で知っておきたい「お金」の習慣』、『住宅ローンはこうして借りなさい・改訂3版』(ダイヤ モンド社)など。
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  しかし、この商品は購入する側が得をするわけではありません。では、この商品のカラクリを投資信託と円定期のセットを例に見ていきましょう。

 投資信託とは、多くの投資家から集まった資金が株式や債券などで運用され、得られた収益が投資家に分配されるという仕組みの投資商品です。元本割れのリスクがありますし、購入時手数料や、信託報酬といった金融機関に支払う手数料がかかります。

 購入時手数料が0円という投資信託もあるにはありますが、このセット商品で購入する商品では選択肢に入っていないことがふつうです。

 セット商品の特徴は、円定期の金利が通常の何倍も高いこと。購入する側にとっては、非常に魅力的に見えますが、実は何倍もの金利を払っても銀行はしっかり儲かる仕組みを持っています。

 円定期は3カ月満期のケースがほとんどで、その場合、高い金利がつくのはたった3カ月だけ。たとえば4%の3カ月満期なら、実際に受け取る利息は、4%×3/12(12カ月分の3カ月)=1%、100万円を預けた場合の利息は1万円、20%の税金を引かれると8000円で、その後は通常通りの低金利に戻ってしまいます。

「3カ月定期」の記載を見落としてしまうと、かなりたくさん利息がもらえる、と勘違いしてしまいます。