さて、投資を始めて商品を買った後はどうしたらよいのでしょうか。実はこの「買った後」の行動も大切です。実際に、商品を決めて投資してしまうと、達成感で満たされて、その後ほったらかしにしてしまう人も少なくありません。これでは投資の練習にならず、「つまみ食い」した意味がないのです。
人気FPの深田さんによれば、適度に商品を管理してこそ、投資の練習になり自分に合った投資法が見つかるとのこと。そこで、買った後に何をすればいいのか、具体的な方法をうかがいました。

継続してチェックする指標は
たった2つでOK

 投資をはじめたら、ぜひとも継続してチェックしたいのが、『日経平均株価』と『長期金利』です。日経新聞なら1面、一般紙なら経済面で確認できますし、ネットでも簡単に見られます。

深田晶恵(ふかた あきえ) ファイナンシャルプランナー(CFP)、(株)生活設計塾クルー取締役。外資系電器メーカー勤務を経て96年にFPに転身。現在は、特定の金融機関に属さ ない独立系FP会社である生活設計塾クルーのメンバーとして、個人向けコンサルティングを行うほか、メディアや講演活動を通じて「買い手寄り」のマネー情 報を発信している。15年間で受けた相談は3000件以上。日本経済新聞夕刊、日経WOMAN、日経ビジネスAssocie等でマネーコラムを連載中。お もな著書に『30代で知っておきたい「お金」の習慣』、『住宅ローンはこうして借りなさい・改訂3版』(ダイヤ モンド社)など。
twitter:http://twitter.com/akiefukata

 『日経平均株価』というのは、日本の株式市場の代表的な株価指標の一つです。日経225とも呼ばれて、東京証券取引所第一部に上場する225銘柄を対象して数値を出しています。

 これはテレビのニュースでも「今日の株価の動き」として取り上げられますから、毎日チェックしてほしいもの。いまの日本の株式市場全体の動きが把握できます。大きく値動きしたときは、なぜ上がったか、下がったかという要因も確認しましょう。この継続が「投資力」を鍛えてくれるはずです。

 長期金利とは、10年物国債(期間が10年の国債)の利回りのこと。景気が上昇する局面では長期金利も上昇、景気が悪化する局面では長期金利は下落するのが普通です。こちらも毎日チェック…といいたいこところですが、難しければ週に1度でOK。

 金利の動きを読むと、今、日本の景気がどういう状況にあるかが分かると同時に、景気の転換点にも気付くことができます。

 どんな商品を買ったとしても、この2つの指標は要チェックです。2つというと、ちょっと面倒に思うかも知れませんが、習慣化すればなんということもありません。

 さらに、自分で日経平均株価の連動型の投資信託を買っていれば、自分のお金に関係することなので、頭にも入ってきやすいものです。「日経平均が上がっている」=「自分が持っている投信も値上がりした」というようになると、俄然、気にかかるようになりますよね。

 これを継続的にみていくことで、だんだんと経済にも興味がもてるようになります。お天気をチェックするような感覚で確認してくださいね。

いくらになったら売るか、
おおまかなイメージを持っておく

 投資商品を買った場合には、「いくらになったら売るか」をあらかじめイメージしておくことが大切です。投資は「買って、売ってひとつの経験」。税金のかかり方や、狙った水準で売ることの難しさなど、売ってはじめてわかることもあります。

 私が相談を受けた経験からいえば「せっかく値上がりしたのに売り損ねて、その後、値下がり。売っておけばよかった」という人は意外に多いものです。投資を続けるモチベーション上げるためにも、売って利益を確定し、成功体験を積みましょう。

 運用会社や保険会社など、人から預かったお金を運用する機関投資家は、運用するのが仕事であり、現金のまま保有しているわけにはいきません。多くの場合、株式で運用する、債券で運用するなど、運用のルールを決めたうえでお金を預っているためです。

 対して個人投資家は買うのも売るのも自由であり、制約はなし。今は買わない方がいいな、と思えば買わなくてもいいですし、利益を確定したいな、と思えば売っていいのです。誰にもしかられることもありません。

 長期投資や分散投資を否定するつもりはありませんし、どちらも大事なことです。しかし、この「長期投資」などの言葉が呪縛となって手足を縛られると、投資を好きになる前に失敗してしまうことがあります。

 投資に正解はありません。もっと自由に、好きなように投資をして、いいことを知ってください。そうした経験を積んでいくことによって、自分に合った商品に巡り合えるに違いありません。