退職金や、保険や定期の満期金、また思わぬ相続などで、まとまったお金を手にすることがあります。そんなときに、かかってしまうのが「退職金運用病」。せっかくまとまったお金があるのだから、運用しないともったいない、と思ってしまうのです。運用しよう!と思ったときに、まず知っておくべきこととは?
「低金利だから」「もったいないから」と
投資を始めてしまうのは失敗のモト!
少しでも有利にお金を増やしたい、と思うのは自然なことです。
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私は15年で3000件を超える家計を診断してきましたが、以下のように
1)ボーナスや退職金をもらった
2)定期預金や保険の満期金が手に入った
3)相続でお金を受け取った
など、ある程度まとまったお金を手にすると、多くの人はしっかり増やしたいと思うようになります。
しかし、現在の定期預金の金利は低いままで、都市銀行の1年定期預金でさえ金利は0.05%前後(2/27日現在)。有利に増やすことはできません。
そこで「利息がつかないなんて、もったいないから、何か運用しなくては」と考えて、投資をはじめてみようかなと思うのです。
かといって、ほとんどの方は投資経験がありませんし、自分で調べるより早いと考えて銀行に行き、「リスクがあまりなくて、そこそこ増えるものが欲しい」などと言ってしまいます。
私はこれを、『運用病』と呼んでいます。中でも重症なのが『退職金運用病』にかかってしまう人です。
銀行や郵便局の窓口へ行き
その場で商品を決めてしまう
この「もったいない」と思って何の予備知識もなしに投資を始める『退職金運用病』にかかってしまうのは、いわゆる退職世代、年で言えば60代以降の人たちに多く当てはまります。
預貯金の利回りが6~7%という高金利の時代を知っている、というのもあるからでしょう。しかし、低金利の今、高金利で、かつ安全な商品など皆無です。
前回と前々回で説明した、「一時払い終身保険」や「預貯金と投資信託のセット商品」など、手数料が高く不利な商品もたくさんあります。また、一度説明されただけでは理解できないような複雑な仕組みの金融商品も、銀行で販売されていたりするのです。
また、銀行や郵便局の窓口で勧められるのは、「その時人気があるもの」が多いものです。普通、他の人も買っていて人気があるならいい商品に違いない、と思いますよね。それに、銀行や郵便局の人が勧めるものに怪しい商品などないはず、とも思うようです。
しかし、現在の金融機関はどこも収益を上げるのに必死です。「顧客の得になるもの」がイコール「金融機関の儲けになるもの」になるとは限らないのです。
また、相談にいった銀行や郵便局の窓口では、金融資産に関してのアンケートなどの書類を書いたりしていると、あっという間に1時間くらいたってしまうものです。
そうすると相談に行った人たちは「こんなに時間をかけて相談に乗ってくれたのに、何も買わないで帰るのは悪い」という心理から、その場で契約してしまうケースが多いのです
何という残念な投資デビューの仕方でしょう。
金融商品で「人気のあるもの」は、今は決しておすすめできないものが多いですし、その場ですぐに契約するのもやってはいけないことです。
適した商品は人それぞれ異なります。1時間程度、金融機関の窓口で相談しても、あなたにどんな商品が適していて、その商品にどんなリスクがあるのかを正確に教えてもらうことは不可能に近いものです。
投資の失敗を避けるためには、その場で決めるのは避けておいた方が無難です。