薬とのつきあい方の基本とは?
たしかに薬は効きます。たとえば風邪をひいて発熱したとき、医師が処方した解熱剤を3~4日も飲めば、たいていの熱は下がるでしょう。
じつは、これこそが薬とのつきあい方の基本なのです。
ここでのポイントは2つあります。
・薬は病気になったときに飲む。
・回復したらすぐに服用をやめる。
これが薬とつきあう基本であり、究極です。
とても大事なことなので、別の視点からも確認しておきましょう。
・薬を予防のために飲まない。
・薬とは長いつきあいをしない。
これ以外のつきあい方は、百害あって一利なしとまではいいませんが、どうしてもデメリットのほうが大きくなってしまいます。
抗生物質(抗生剤)を例に、薬のメリットとデメリットを説明しましょう。
抗生物質は、細菌を殺す働きをします。ですから、感染症など細菌に由来する病気には効果があるとされています。
ただ、この抗生物質には“陰の部分”もあります。
抗生物質はある期間きちんと飲むことによって効果を発揮しますが、じつは飲み続けることで耐性をつけてしまう菌もいるし、常在菌が死んでしまうという面もあるのです。
常在菌とは、主に健康な人の体内に日常的に存在する微生物のことで、善玉菌とも呼ばれています。ビフィズス菌や乳酸菌も常在菌の一種です。
つまり、抗生物質を飲めば飲むほど、悪玉の菌が強くなり、善玉の常在菌は死んでしまうのです。
ここからも薬を飲み続けるリスクをご理解いただけるでしょう。
今日でも、体調が悪いときに病院やクリニックを訪ねると、「とりあえず抗生物質も出しておきましょう」という医師は少なくありませんが、安易に抗生物質に頼り続けるのは考えものです。
薬とのつきあいは、「細く短く」に限るのです。