写真はイメージです

 薬の本当のやめどきはいつなのか。老年医学の第一人者である東京大学大学院の秋下雅弘教授は「年を取ったら若いころと同じつもりで薬をもらう姿勢は改めた方がいい」と促す。

 若者や壮年と同じ量の薬を出されていたり、自分で購入した市販薬で「大人」の量を飲んでしまうかもしれないが、若い人と同じように薬を飲んでいると、予想外の副作用や中毒症状が出ることがあるからだ。

 秋下教授に引き続き解説してもらおう。薬の量の次に問題になってくるのが種類だ。飲む種類が多い分だけ、副作用のリスクは増える。にもかかわらず、7種類以上の薬を薬局で受け取る割合は40~60歳で10%、65~74歳で15%、75歳以上で26%と上がっている(厚生労働省「2014年社会医療診療行為別調査」)。

 高齢者では処方される薬が6種類以上になると、副作用の頻度が15%くらいに跳ね上がる(Kojima T. Akishita M, et al. Geriatr Gerontol Int. 2012)。薬を飲まないのが一番いいが、かといって病気を放置するわけにはいかない。

クスリは5種類まで
副作用で転倒や認知症まがいの症状

 では、何種類くらいが適当か。日本老年医学会で検討した結果、5種類までを目安にするという方向で意見がまとまった。

 複数の薬を飲む一番の問題は、薬同士の相互作用が起きることだ。3種類以上を一緒に飲んだら何が起きるかについては誰も調べていないが、実際に相互作用は起きている。