以前、本コーナーで「IT業界志望なら当たり前!?就活でのフェイスブック、ツイッター利用率が上昇中」という記事を公開した。ツイッターを就活で使う学生は半数以上、ツイッターに比べて日本での普及が遅かったフェイスブックに関しては約30%という利用率の高さが明らかとなった。だが、社会人が転職活動を行う際のSNS利用率は、まだ低いようだ。転職サイト「DODA」の行った調査によれば、転職活動におけるSNS利用率は9.8%に過ぎないという。では、調査内容を詳しく見てみよう。
調査対象は転職活動経験のある25~39歳のホワイトカラー系職種の男女(正社員)。実施期間は2011年10月22日~23日。調査方法はインターネット。有効回答数は1000件。
SNSを利用した情報収集
学生と社会人の差とは?
SNS利用率が低い理由として、同調査では「ネット内に実名や社名、職歴を公開する習慣が日本にはまだ根付いておらず、またビジネス機会の創出にソーシャルメディアを活用するケースも少ないから」としている。ただ、これだけでは学生に比べて転職組である社会人の利用率が低いことを説明するのは十分ではないだろう。
SNSを利用する理由として主に考えられるのが、「情報収集」と「人脈作り」だ。このうちの「情報収集」は、転職組であればそれまでの社会人経験から得る部分は大きい。どこにあたればほしい情報にたどり着けるか、理解できているのが転職組だと言える。それに比べると多くの学生たちはまだ社会を知らず、どのように情報収集をすれば良いのかもわからない段階だろう。そこでデジタルネイティブである彼らは、ネットでの情報収集に精を出すのではないか。
また、これは推測に過ぎないが、「ネットを使って情報収集」ということの示す意味合いは学生と社会人でやや違うと考えられる。情報収集の初期段階からネットを利用するのが学生で、ネットでしか知り得ない情報に関してのみ利用するのが転職組ではないだろうか。
ミクシィとフェイスブックで大きく異なる
「利用する理由」
さて、少数派とはいえ転職活動でSNSを利用する人たちは、どのSNSを最も利用しているのだろうか。最も多かったのはミクシィ(6.3%)で、フェイスブック(4.7%)、ツイッター(4.3%)、そしてビジネスに特化したSNSであるリンクトイン(1.9%)が続く。
違いが目立ったのは、「SNS別の利用目的」。「企業や求人の情報収集」はフェイスブック(40%)が最も多く、ミクシィ(29%)が最も少なかったが、「他の転職者の動向を知る」はミクシィ(21%)が最も多く、フェイスブック(13%)が最も少なかった。また、「人脈を築く」はフェイスブックが53%、ミクシィが35%、「自己PRをする」は同11%、13%、「企業と直接対話する」は同11%、同3%だった。「企業へ応募する」はフェイスブックが6%、その他のSNSはすべて0%だった。
今回の調査では、実名制で学歴や職歴を記入することを推奨するフェイスブックの特徴が強く出た結果と言えるだろう。また、ミクシィでは、転職者同士など同じ目線の相手とのコミュニケーションが他のSNSよりも活発な様子が見受けられた。
まだまだSNSを使った転職活動が一般的ではない日本。これから一層SNSが社会に浸透していくうえでSNS転職が海外のように一般的となるか――。それは、SNSを使ったビジネスの進展に日本人がついていけるか否かが重要な判断基準になると思われる。
(プレスラボ 小川たまか)