日本にリンクトインが上陸したという。
「また新しいSNS(ソーシャルネットワークサービス)か」と、うんざり気味の人もいるかもしれないが、リンクトインはSNSの中でも多少毛色の違ったものであることを知っておく必要があるだろう。
実はリンクトインの歴史は、かの有名なフェイスブックよりも数年長い。フェイスブックは、大学生が友達を広げるためにつくったものだが、リンクトインはシリコンバレーで2003年にスタートした。職業を持つ人々が集い、ユーザーがネットワークを広げて仕事の情報交換をしたり、場合によっては新しい職に就くチャンスを得たりするのが、このサイトの目的だ。その意味では、真面目な大人のサービスと言える。
リンクトインは、ドットコム・バブル崩壊や経済危機を切り抜け、今年5月にIPOを果たした。地味ながらも信頼されるSNSというのが、ここアメリカでのリンクトインへの評価である。地味と言いながら、現在の登録ユーザー数は1億2000万人に上り、利用も世界200ヵ国に広がっている。サイトも英語の他にフランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、日本語など10ヵ国語で運営されている。
では、リンクトインはフェイスブックと具体的にどう異なるのだろう。
大きな違いは、フェイスブックのように日々の活動をあれこれアップしたりしないことである。昨夜どこのレストランで何を食べたの、次の週末はどこそこへ旅行に行くなどといったことは、リンクトインにはあまり関係ない(ツイッターのフィードを統合することは可能)。
その代わりに充実させるのは自分の履歴書だ。人によっては、学校を卒業して以来の職業を綿々と綴るユーザーもいる。そうすることで、自分の技能や経験をしっかりと見る人に印象づける。リンクトインは、言わば自分の履歴書のオンライン版だと思えばいいのだ。
もちろん、SNSなので、知人や友人のネットワークもここで築く。一緒に仕事をした人、知り合いだが、将来の仕事上大切にしておきたい相手などを自分のネットワークに加える。フェイスブックと同じく、リンクすることを依頼した上で加える方法だ。
もともとリンクトインは、知人のそのまた知人とつながれることが利点とされてきた。自分のネットワークとは、直接の知り合いだけでなく、知り合いの知り合い、そのまた知り合いまで広がっているという感覚だ。仕事上知っておくといい人、今度のプロジェクトについて声をかけたい人などがそのネットワーク内にいれば、知人に頼んで紹介してもらうこともできるし、ネットワーク全体に向かって伝えることも可能。