こうした変化の契機としては、年金給付年齢の引き上げの流れの中で、老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢が2013~25年度に(女性は5年遅れて)、60歳から65歳へ引き上げられることとなっている。対策は、(1)継続雇用制度の導入、(2)定年年齢の65歳への引上げ、(3)定年制の廃止のいずれかとされた。

 こうした状況に対応するため、「改正高年齢者雇用安定法」が2006年に施行され、自社の社員に対して60~64歳の雇用を確保する対策が、企業に義務づけられた影響によるところが大きいと考えられる。

 女性の労働力率は、全体として男性よりレベルが低くなっている。推移を見ると、男性と異なって、定年退職者が多くないため、60歳以上の各年齢層でもほぼ横ばいの動きとなっていたが、2005~06年頃を境に60代で上昇に転じた点は男性と同様だ。

 男性と異なり、50代後半でも上昇が見られることからも、これは、将来的な年金給付年齢の引き上げという家計における新しい事態に対して、夫婦で対処しようとした側面が大きかったのではないだろうか。

 なお、男性の定年後再雇用や女性の高齢就業は、契約社員・嘱託・パートといった非正規雇用が中心となっており、高齢男女の労働力率のこうした上昇がいわゆる非正規雇用拡大のひとつの大きな要因となっているといえるだろう。

年金受給開始年齢を後ろ倒しさせるため
さらなる「高齢就業拡大」への動き

 こうした高齢就業の拡大傾向は、一方で、職場における筋骨労働の減少や、機械化・電子化による労働補助手段の発達、さらに、平均寿命の伸びと平行した高齢者の体力の向上によって可能になっていることは確かだろう。

 高齢者の歩行速度に関する調査や、高齢者が保持している歯の本数に関するデータなどによれば、現在の70歳の身体の状況は、以前の60歳以前に匹敵する(つまり10歳以上若返っている)とされる。

 こういった調査を収集・分析した「日本老年学会」のワーキンググループは、高齢者の「若返り現象」が認められるとして、65~74歳を「准高齢者」、75歳以上を「高齢者」とする新たな定義を示した。