薬には、いいところもあれば、悪いところもあります。
昭和薬科大学教授を務め、現在は日本薬科大学客員教授として薬に深く関わり続けているからこそ言える、薬との正しいつきあい方、薬を減らして元気に長生きする秘訣を紹介した千葉良子先生の著書、『薬学部教授だけが知っている 薬のいらない健康な生き方』から一部を抜粋し、再編集して紹介します。
真の健康を手に入れるには、生活習慣や考え方を変えることも欠かせません。薬漬け、化学物質漬けになることなく健康に生きるために役立つ知恵をご提案します。

飲み続けると、認知症リスクが高まる薬がある

飲み続けると、認知症リスクを高める薬がある!薬学部教授が教える、薬との正しいつきあい方、今すぐ始められる認知症予防とは?千葉良子(ちば りょうこ)
秋田県生まれ。医学博士、薬剤師。日本薬科大学客員教授。日本アロマセラピー学会理事、秋田産業サポータークラブ幹事、同クラブ「食と美と健康ワーキンググループ」主査。1975年、昭和薬科大学薬学部卒業後、同大学分析化学研究室助手、臨床化学分析教育研究室准教授、同研究室教授を経て、2017年4月より現職。杏林大学医学部にて免疫学を学び、東邦大学医学部にて博士号を取得。専門はルテニウム錯体化学発光法を用いた体液中医薬品の高感度分析法の開発。ライフワークとして国産樹木精油の臨床応用に携わっている。撮影:板山拓生

 内閣府によると、2012年現在、65歳以上の高齢者の認知症患者数は462万人。65歳以上の7人に1人が認知症であると推定されています。それが2025年になると、約700万人、5人に1人に増加すると見込まれています。まさに由々しき数字といっていいでしょう。
 さらに言えば、2012年現在の認知症患者数462万人という数字は、病院で認知症と診断された65歳以上の人の数です。ここに、認知症が疑われながら病院で診察を受けていない人、65歳未満の若年性認知症患者などを加算していけば、今日でも700万人に達するのではないかともいわれているのです。
 まさに認知症は“国民的病”になろうとしているのです。
 にもかかわらず、認知症が発症する原因すら確定しておらず、それゆえか治療法も確立されていないのです。認知症の医学的研究は、まだ端緒についたばかりといってもいいでしょう。

 さて、この認知症、ある薬を飲み続けると発症リスクが高まるといわれています。
 その薬とは何なのでしょうか?

 答えは、降圧剤です。

 降圧剤を長期的に飲み続けると、脳に血液が行かなくなって酸素不足で脳梗塞が起こり、脳に血栓ができて認知症を発症しやすくなるというのです。
 あくまで一説ですが、あり得ないことではないと思います。

 ちなみに「長期的」というのは、医学的には「1ヵ月以上」のことをいいます。