米朝、南北の「対話」続けば
関与できない日本は苦しい立場に

「凍結」だけでも米国は北朝鮮の核に対して本土の安全を保つことに成功した、と言えよう。だが日本にとっては北朝鮮が日本に届く核ミサイルを保有し続けることを米国が黙認し、北朝鮮を承認することになれば、極めて苦しい立場になる。

 米国に続いて日本も北朝鮮と国交樹立をしようとすれば、1965年の韓国との国交正常化の際、請求権並びに経済協力協定で無償3億ドル、有償(長期低利貸付け)2億ドル、民間融資3億ドルの資金提供を行った例を、北は持ち出すと思われる。50年以上の昔とくらべ時代や物価も変わっているから、その何十倍もの要求を突き付けかねない。

 米朝の首脳会談で「凍結」が合意されれば、「(北朝鮮問題で)アメリカと100%一致している」と言ってきた安倍政権と外務省にとっては「最悪の事態」となる。

 だがもし米朝の戦争になれば、日本でも人的、物的被害は桁違いに大きい。こちらの方が真の「最悪」で、核の「凍結」での米朝合意は、それに次ぐ難局ということになるだろう。

 米国内でも「北朝鮮の核保有を黙認すれば、今後、北朝鮮が核実験と発射実験はやらなくても、研究開発は続くから脅威は高まる」「国連でも北朝鮮の核廃棄を要求する決議が行われたのに、それを無視した和解は腰くだけだ」など、対話に対する批判が出そうだし、北朝鮮国内の人権問題も指摘されよう。

 軍人と共に武力行使に反対し、対話の道を探っていたR・W・ティラーソン国務長官は3月13日解任され、後任は「先制攻撃」を唱えてきたM・R・ポンペオCIA長官だから、北朝鮮、韓国との裏での折衝も難しいだろう。

 核放棄に関しては、将来の双方の努力目標のような玉虫色の合意とする手もあるだろう。だが合意に達しなくても、対話が続く間、北朝鮮は核実験やミサイル試射は行わず、米国も「南北対話中は武力行使をしない」と言明している。

 米朝、南北でだらだらと対話が続けばその間戦争は避けられる。

 ただ日本はその対話におそらく関与できず、「北朝鮮の核に対する抑止力」を標榜する米国への追随がさらに深まることになる可能性が高いだろう。

(軍事ジャーナリスト 田岡俊次)