速く読めて覚えられる――そんな夢のような読書術があるのだから、読まないわけにはいかないはずだ。15万人が実践し、成功率95%を誇る「本を読む技術」を手に入れれば、本の知識が自身の能力に変わる実感ができるはず。発売即重版となった新刊『速読日本一が教える すごい読書術 短時間で記憶に残る最強メソッド』から、これまでの半分の時間で読めて、毎月30冊以上読める読書術を紹介していきます。

社会人には、学生時代とは違う読書術が求められる

学校で習った読書術は、社会では通用しない角田和将(つのだ・かずまさ)
Exイントレ協会 代表理事
高校時代、国語の偏差値はどんなにがんばっても40台。本を読むことが嫌いだったが、借金を返済するため投資の勉強をはじめる。そこで500ページを超える課題図書を読まざるを得ない状況になり、速読をスタート。開始から8ヵ月目に日本速脳速読協会主催の速読甲子園で銀賞(準優勝)、翌月に開催された特別優秀賞決定戦で速読甲子園優勝者を下して優秀賞(1位)を獲得。日本一となり、その後独立。速読を通じて、本を最大限に活かし、時間の量と質を変えることの大切さを教えるため、国内外を飛び回っている。
セミナー講演では医師、パイロット、エンジニアなどの専門職から経営者、会社員、主婦と、幅広い層の指導にあたり、95%以上の高い再現性を実現している。
大企業から学習塾など、さまざまな分野での研修も実施しており、ビジネスへの活用、合格率アップなどにつながる速読の指導は好評を博している。
教室に通う受講生の読書速度向上の平均は3倍以上で、「1日で16冊読めるようになった」「半月で30冊読めるようになった」「半年間で500冊読めるようになった」など、ワンランク上を目指す速読指導も行っている。
著書に、『速読日本一が教える すごい読書術 短時間で記憶に残る最強メソッド』(ダイヤモンド社)などがある。

 読書の仕方については、ほとんどの人が学校で習ったと思います。いわゆる黙読で、頭の中で音読をするような感じで1文字ずつなぞり読む方法です。

 おそらく大半の人はその読み方で、幼少期から今までずっと来ているのではないでしょうか。

 確かに黙読自体は必要なことです。言葉そのものが持つ感覚的な部分を感じ取り、話し方やコミュニケーションスキルに活かすなど、役立つところがいろいろあります。

 しかし社会人になってから、仕事上の文書やスキルアップにつながる本をなぞり読んでいると、学生時代以上に多忙なため、読み切れない状況が増えていきます。

 ただ時間がなくても、きちんと読み切り、結果も出しているビジネスパーソンは存在しています。

 彼らは、学校で習った黙読とは異なる、社会人に求められる本の読み方をしているのです。

 学校のテストに出る問題は、基本的に教科書に書かれている内容から出題されます。特に定期テストは、教科書といってもさらに限定された範囲からしか出題されないので、じっくり時間をかけて読むことができます。

 そのため、教科書の出題範囲をじっくり読みさえすれば、テストは何とかパスすることができるのです。

 しかし社会人の場合、大半の人は時間をかけて本を読んでいる余裕がありません。

 さらにいえば、本を読んだところで、そこにビジネスの課題の答えが具体的に示されていることはまずなく、学生時代のように本の内容を丸暗記したところで無意味でしょう。

 マニュアルのような手順書でさえも、それを丸暗記しても、マニュアル作成者が求める作業品質には必ずしもならないのです。

 つまり社会人には、学生時代から慣れ親しんだ読み方とは異なる読書術が求められるのです。

行間を読み取った作業ができる

 では、具体的にどのような読み方をすればいいのでしょうか。

 それは本の内容を起点に「どれだけ本に書かれている文章と違うことを思い浮かべられるか?」に重きを置くことです。

 たとえば給料がなかなか上がらず、お金のことで悩んでいる人が、『史上最強の投資家バフェットの教訓』を読んだとします。

 本には、「投資も仕事選びと同じ」という一文が載っています。それを見て、給料が上がらない原因は自分の会社の利益が少ないからだと気づき、給与以外でお金を増やすために投資の勉強が必要であること、投資の勉強を通じて、より経済性で優れた会社を探し出して転職することといった、収入面での悩みを解決するキッカケを得ることができます。

 そして『バフェットの教訓』を閉じ、株の勉強の一環として業界ニュースも見るようになり、たまたま「大塚家具、経営危機」という記事を見かけたとします。

 元々、高級路線で経営していたところから、大衆路線にビジネスモデルを変えたことによって、一時は業績が上向いたものの、長くは続かず、苦戦しているという主旨の記事です。

 その後、再度『バフェットの教訓』を読み返してみると、「商品を大衆化して儲けを増やすのは簡単だが、大衆路線から高級路線へ戻るのはむずかしい」というページがあります。大塚家具の経営状況とイメージを関連付けながら読み進めることによって、最初に読んだときよりも深い理解が得られるようになるのです。

 このように、本の内容と、これまでに経験してきたこと、周りの環境を掛け合わせることによって、ビジネスの問題や課題に対する解決のヒントを見つけることができるようになります。

 また、ノウハウやメソッドが紹介されている本であっても、「なぜそのメソッドをやる必要があるのか」、「普段やっている作業や関係者、組織等に対して、どういった影響を及ぼすのか」など、内容の本質が見えてくるようになり、本には記載されていない「行間」を読み取った作業ができるようになるでしょう。

■参考文献
「速く読んで覚えられる最強の読書術」