なぜ、あなたの会社は利益を生み出せないのか? それは、今までの会計の公式が間違っていたから。これまでの会計原則である「売上-経費=利益」に従っていてはダメ。もっと儲かる会社にしたいのなら、「売上-利益=経費」へと頭を切り替えろ―ー。世の経営者たちにそう訴えかけるのが『PROFIT FIRST お金を増やす技術』(マイク・ミカロウィッツ著、近藤 学訳、ダイヤモンド社、3月14日配本)です。著者のマイク・ミカロウィッツは米国人の起業家で、彼自身が破産寸前にまで追い込まれたことがきっかけで、この「プロフィットファースト(利益が第一)」は生まれました。一言でいえば「借金を減らし、キャッシュリッチな会社に変わるための資金管理法」です。本連載では、多くの経営者が経営改善に成功している実証済のシステムである「プロフィットファースト」の基本を、7回にわたって紹介します。

体重を減らすための食事に関する4つの原則

 ここで食事に関する科学について少しお話ししましょう。

 2012年、コート・ヴァン・イッターンサムとブライアン・ウォンシンクが、あるレポートを消費者動向に関する専門誌に掲載しました。そのレポートでは、アメリカにおける平均的な皿のサイズは、1900年の9.6インチから2012年には11.8インチに大きくなっているということです。パーセンテージで言えば23%増。

 記事では、皿のサイズの巨大化により、人1人の1日の摂取カロリーは50キロカロリーも増加しており、そういう人は毎年5ポンド余計に太るということが数学的に説明されています。これが長年繰り返されれば、蓄積して脂肪になるというわけです。

 しかし、サイズの小さな皿を用いることは、その要素の1つに過ぎません。体重の減少と栄養に関する4つの核となる原則をご紹介しましょう。

1.小さな皿を使う─まずは小さな皿を使うこと。これが連鎖反応の始まり。小さな皿を使うことで、食べる量が少なくなり、それだけカロリーの摂取量も抑えることができるようになります。通常よりも少ない摂取カロリーに抑えることで、体重を減らし始めることができます。

2.順番を意識する─栄養やビタミンに富む野菜を食べれば、ひとまず空腹を解消することができます。この後でチーズバーガーやマッシュポテトといったものを食べるようにすれば、自動的にこうしたものを食べる量も減ります。つまり、最初に野菜を食べるようにする形で食事の順番を変えれば、自動的に栄養バランスを改善した食生活を送ることができるようになるのです。

3.誘惑を排除する─食に関するあらゆる誘惑を排除。もしあなたが私と同じような人間だった場合、キッチンにドリトスの袋が鎮座していたなら、ついついそれに手を伸ばしてしまうことでしょう。たとえ、そのときに空腹でなかったとしても。しかし家の中にジャンクフードの類いが一切ないという状況なら、わざわざそれを買うために外に出かけたりはしないでしょうだろう。

4.リズムを作る─空腹になるまで食べずにいたのでは遅すぎます。そしてあなたはどか食いを始めるでしょう。空腹は解消され満腹になりますが、やがてまた空腹はやってきます。こうした空腹の波により、結果として多くのカロリーを摂り過ぎてしまうこととなるのです。これを避けるために、空腹を感じるようなことがないように一定期間で食事を取るようにするといいでしょう(多くの研究者が1日に5回の食事を勧めている)。空腹の波がないお陰で、実質的にはより少ない摂取カロリーで済むのです。

1.パーキンソンの法則:なぜあなたのビジネスはチューブ歯磨きのようなものなのか?

 健康に関するこの4つの原則を発見して以来、私はそれらを深く深く掘り下げてきました。自分の行動のきっかけとなるものを自覚できていれば、それは大きなアドバンテージとなるからです。

 1955年、C・ノースコート・パーキンソンという近代の哲学者が、一般的な常識とは逆のパーキンソンの法則を生み出しました。「需要は、供給される量まで拡大する」というものです。経済において、これは誘発需要と呼ばれており、交通量を緩和するために道路を拡張しても長期的には功を奏しない理由もこれで説明できます。道路を拡張したとしても、その拡張した道路をより多くのドライバーがこぞって使おうとするからです。

 別の例で言えば、小皿料理を提供するスペイン風タパスバーに行ったなら、あなたが食べる量は少なくなるでしょうが、料理がマンホールの蓋のような皿に載った食べ放題のレストランに行けば、食べたものが耳のあたりに達するまで食べ続けるに違いありません。

 同様に、あるプロジェクトを改善するための締め切りが1週間だということであれば、あなたはその1週間を使い切ってしまうでしょう。

 しかしもし相手から提示された納期が明日なら、何とか1日で完成させることができるはずです。多くを自由にできるとき、それだけ消費されるのです。これは食べ物でも時間でも、歯磨き粉でも同じです。

 歯磨き粉がほとんど新品であるとき、1回の歯磨きで、大量にチューブから押し出して使うのなぜでしょうか? それは、まだまだ中身はたくさんあるからです。

 しかし、歯磨き粉のチューブがほとんど空だったらどうでしょうか? あなたはチューブをこれでもかというほど絞り、中身を何とかひねりだして、反対の手に握った歯ブラシに歯磨き粉を何とかなすりつけようとトライするでしょう。あるかないかで、ここまで行動が変わってしまうとは、面白い話ですね。

 パーキンソンの法則では、供給が不十分のとき、人は2つの行動を取るようになります。そのうちの1つである倹約は分かりやすいですね。チューブにほとんど歯磨き粉が残っていないとき、あなたは歯磨き粉の量を節約しようとするはずです。そしてこれと同時に、節約よりも凄いことをあなたはするようになります。それは、チューブの中の歯磨き粉を使い切ってしまおうと、ありとあらゆる方法を創造的かつ革新的に考え出すようになるということ。

 お金に対する行動を変えてしまうようなことが1つあるとすれば、それはパーキンソンの法則を理解することです。あなたは、歯磨きをするとき(経営を行うとき)、目の前にある歯磨き粉(お金)の量を意識的に少なくしなければならないのです。

 使えるお金が少なくなれば、自動的にビジネスの運営は慎ましくなります。あなたは、より少ないお金でそれ以上の結果を生み出すための方法を見つけられるようになるでしょう。

 プロフィット・ファーストで最初に自分の利益を確保することで、より賢く考え、より多くのことに革新的にならざるを得なくなるという訳です。

2.初頭効果:利益を最初に持ってくることが、何より重要な理由

 理解しておかねばならない原則その2は、一般に初頭効果と呼ばれています。これは、人は最初に出会ったものに特別に重きを置く、というものです。

 これからお見せするのは、2つのグループの単語です。

 片方は罪人を、もう片方は聖人を表しています。以下を読んだあと、できるだけ早く、どちらがどちらを表しているのか判断してください。準備ができたら、以下の2つの単語のグループを見て、すぐに判断します。

 1.悪、憎悪、怒り、喜び、思い遣り、愛
 2.愛、思い遣り、喜び、怒り、憎悪、悪

 一目見たところで、おそらくあなたは、最初のグループの方が罪人を表していると思い、後のグループの方は聖人を表していると思ったのではないでしょうか?

 ここでもう一度2組の単語を見てください。どちらも単語の内容が全く同じであることに気付くでしょう。提示の順番が真逆なだけです。

 つまり、悪だとか憎悪といった単語を最初に見てしまうと、心理的にこれらの言葉に重きを置き、その後の言葉に対して置く重要度が低くなるのです。

売上ー経費=利益」という一般的な方程式に従うとき、私たちは左辺にある2つのものに重きを置くように刷り込まれ、右辺の利益は後回しになるのです。

 そして、できるだけ売上を上げようと必死になり、経費の支払いをするために売上を上げるという循環にとらわれ、何度もそれを繰り返し、どうして利益が残らないのかと不思議がるということが繰り返されます。

 プロフィット・ファーストは、利益を左辺に持ってくることで、それを重要視しようと頭が切り替わるのです。

3.誘惑を排除する:利益を手にしたら遠ざける

 プロフィットファーストを導入し、利益を生み出したら、次にやることはそれをすぐに使える場所から隔離することです。自分の視界から消すことで、それにアクセスできないようにするのです。こうして、それを使う正当な理由がない限り、持っているもので何とかやりくりする方法を見つけ、持っていないものについて心配することはなくなるのです。

4.お金にリズムを導入する

 空腹になりすぎるとその反動でつい食べすぎてしまいます。そうならないためには一定のリズムで食事をとることが大事ですが、その考え方はお金にも応用できます。

 ある種のリズムを意識して確立することで、大きな入金があったときに反射的にお金を使いまくって、一気にキャッシュが減ってパニックに陥るようなことを防ぐことができるのです。

 お金のリズムを導入することは、キャッシュフロー全体の上でも優れた指標となります。これにより、キャッシュフローを計ることが非常に簡単になるからです。キャッシュフロー計算書を読む代わりに、銀行口座をチェックするだけで現在のキャッシュフローを確認できるのです。

 自分の銀行口座を確認するだけで、毎日、現金の状態をモニタリングすることができるのです。口座にログインして、2秒で残金を確認。ログアウト。それだけで現状が把握できるのです。

[著者]
マイク・ミカロウィッツ(Mike Michalowicz)
米国人のアントレプレナー。2社の1億円超企業を創業し売却。また、プロフィットファーストプロフェッショナルズの共同創業者として、同メソッドを伝える会計士、コーチを組織化する。元ウォールストリートジャーナルのコラムニストで講演家としても著名。TEDxなどでビジネスや起業家精神についてのスピーチを行っている。
他の著書に、『THE PUMPUKIN PLAN』(日本未完)、『トイレットペーパーの起業家』等がある。
[訳者]
近藤 学(こんどう・まなぶ)
日本人初のプロフィットファーストプロフェッショナル。
京都府で税理士事務所を開業。ネットベンチャー企業のCFOとして創業に参加。
中小企業の家庭に育ち両親の資金繰りの苦労を目の当たりにしてきた経験をもとに、自らキャッシュフロー改善のソフトウエアを開発し、現在約150名の税理士等に会員制サービス(こがねむしクラブ)を通して提供している。
訳書に『あなたの中の起業家を呼び起こせ』(マイケル・E・ガーバー著、エレファントパブリッシング)。著書に『一番楽しい!会計の本』(ダイヤモンド社)、『「儲からない」と嘆く前に読む会計の本』(大和書房)などがある。