すでにEVは年間約60万台の需要があり、中国政府の政策誘導によって今後さらなる市場拡大が見込まれる。VWブランドのヘルベルト・ディースCEOは「中国市場における販売シェアを維持しようと思えば、EV販売は不可欠だ。中国政府からはEV普及に向けたインフラ整備やインセンティブに関して全面的なバックアップを受けている。25年に年間100万台のEVを販売するというVW単体の目標は、十分に達成可能だ」と自信を示す。

 一方、ディーゼル車の販売も諦めたわけではない。今年2月末にはドイツ連邦行政裁判所が、行政によるディーゼル車の走行禁止を認める判決を出すなど逆風が続くが、ディース氏は「“ディーゼル車=悪”というのは誤解だ。窒素酸化物(NOx)の排出量を低減したクリーンディーゼル車は、厳格化された排ガス規制をクリアしている。現状の電力事情などを考えれば、ディーゼル車を選択した方が環境に良い」と述べ、お膝元の欧州市場でディーゼル車販売の巻き返しを誓う。

 こうした発言から透けて見えるのは、強みを持つディーゼル車販売で収益を守りつつ、電動化や自動運転化で攻勢をかけようというVWの世界戦略だ。

 攻守を巧みに織り交ぜつつ、世界の「トップ・オブ・ボリューム」(量販セグメントの最上位ブランド)の地位固めを狙うVWは、世界王座を防衛し続けることができるのか。

 冒頭の幹部は言う。「短期間でこれだけのことを達成できたが、ドイツ人には何事にも満足しない気質がある。われわれは満足しない。永久的にだ」。

 変革の真価が問われるのはこれからだ。