「インサイダー取引」ではなく「粉飾」で逮捕された理由
熊谷 ご指摘はごもっともです。実際、当時の私は、会計士が適法と言っていたので粉飾決算という認識は一切なかったのですが、インサイダー取引に関しては危うさを感じていました。だから正直に担当の検事にも同様の事を話したんですが、「そんなのどうでもいい。それより、堀江が何を話したかを知りたいんだ。記憶を喚起してくれ」の一点張りだったのです。
強制捜査をした特捜部としては、粉飾ではなくインサイダー取引の方が事件化しやすかったはずですが、堀江さん個人がファンドのライブドア株の売買に全く関与していないのは証拠上明らかだったので、堀江さんを逮捕するために、インサイダー取引ではなく無理やり粉飾ということで事件化したのだと思います。また、もし不審に思ったのであれば、市場を暴落させる形でのいきなりの強制捜査ではなく、まずは証券取引等監視委員会などの検査にしてほしかったです。
藤沢 その通りですね。まずは金融市場の監督当局が検査すべきだったんですよ。それが、わざわざ月曜日に市場を大暴落させる形での東京地検特捜部の強制捜査です。実際に、ライブドア・ショックからというもの、ライブドアが上場されていたベンチャー企業を育てるはずの東証マザーズ市場は、ずっと下げ続けました。今でも回復していません。起業しようとか、学生なら公務員や大企業ではなくベンチャーに就職しようと思っていた人たちに、思いっきり冷水をかぶせましたね。
ところで、もしライブドアがフジテレビを買収していたら今頃、日本はどうなっていたのでしょうかね?