志麻さんの「ライブ感」を活写したチーム力

 暗中模索の中、様々な人たちの協力を得て出た結論……。
 この本は、従来のレシピ本からあえて遠ざかろうとした。

 私が受験時代に読んでいた「実況中継」シリーズのような、「ライブ感」のある本にしてはどうか。志麻さんが5軒のお宅にお邪魔するシーンを、動的、ダイナミックに活写してその調理風景をそのまま収録する。冷蔵庫にある食材だけで調理する。ある意味、冷蔵庫が主役の本。だから本の中でも、最初に、冷蔵庫を開いたところをパシャ! その食材を冷蔵庫からテーブルに全部出し、カメラマンがハシゴにのぼって上からパシャ! そして志麻さん料理GO!
 1軒3時間で15品前後。その中に誰でもできるコツを忍び込ませる。冷蔵庫にあるもので、今晩すぐできるものにする。私レベルでも作れる。しかもありえないレベルでうまい大人だけでなく子どもたちも喜ぶ。こんな本にしようと、チームのみんなで最終的に思い立った。

 しかし、私の拙い頭では、このアイデアは絶対に出てこなかった。
 志麻さんをはじめ、優秀なベテランスタッフのみなさんと議論に議論を重ねたからこそ、志麻さんの個性を生かす面白いアイデアが次々出てきて、それいいね! とみんなで握りあえた。
 つくづく本はひとりでは創ることができない。
 特に、料理本はチームワークが大切。
 今回、とても勉強になった。スタッフの皆さんには心から感謝している。