片付けながら料理する志麻さん
志麻さんがすごいのは、料理だけでなく、片付けながら料理するところ。
調理前に最大限のイメージを働かせ、調理しやすい環境を整える。
驚くべき速さで調理する傍ら、ふとキッチンの洗い場に目をやると、整理整頓されている。手を洗ったついでに食器や食材をなにげなく洗い、すぐ調理に戻る。
こんな時、担当した『数字は人格~できる人はどんな数字を見て、どこまで数字で判断しているか~』著者・小山昇社長の「環境整備」を思い出す。
環境整備とは、仕事をしやすくするための「環境」を「整えて」、仕事に「備える」ことだった。
まさに志麻さんは、「環境整備」のプロフェッショナルでもあったのだ。
志麻さんは、蛇口付近のセンターに大きめのスーパーのゴミ袋を設置。
そこに片っ端からゴミを捨てていく。
いわば、ゴミセンターを設置するのだ。
「ピンポ~ン♪」を押して入り、最後「ありがとうございました」までできっちり3時間。
無駄なことをしている暇は片時もない。
しかし、志麻さんに質問すると、嫌な顔せず、笑顔で応えてくれる。
まさに仕事人・志麻さん。プロフェッショナルである。
都心だけでなく全国津々浦々で志麻さんの技術を欲する人は多い。
ただ、志麻さんは、技術が素晴らしいだけでなく、人間性も素晴らしい。
「作る時間より食べる時間を大切にしてほしい」
と言う志麻さん。
私も、簡単にできて心底うまい「家庭料理」を毎日食べたい。
外食は飽きる。だが、家庭料理は飽きない。
時代が志麻さんを欲している気がしてならない。
「技術と精神がドライブがかった本」「光が当たらないところに光を当てる」本を作りたいと思っている私だが、志麻さんは、両立しにくい難エリアを難なく次々こなしていく。
日本から世界へ、2020年東京オリンピックに向けて、日本人だけでなく、外国人の方にもぜひ志麻さんのレシピを食べてほしい。これから志麻さんを必要とする人が、国内外でますます増えていくと思う。
彩りあざやかで、冷蔵庫の少ない食材でできる志麻さん「プレミアムレシピ」の数々は、連載第1回を、ぜひご覧いただければと思います。