もちろん、サービス部門でも低生産性を放置しておいてよいわけではない。 しかしここで難しいのは、サービスの中には、むやみに生産性を高めればよいわけではないものが少なくないことだ。

 図2は、日本のGDP(国民総生産=付加価値総額)と総労働時間に占めるサービス部門の付加価値と労働時間のシェアの推移を描いたものだ。

◆図表2:GDPと就業者総数に占めるサービス部門のシェアの推移

(注)いずれも公務を除く。GDP(付加価値)は家賃を除く。
(出所)JIPデータベースをもとに筆者集計
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 三つのサービス部門のうち、対個人サービス業は、付加価値のシェアに比べて労働投入のシェアがずっと大きく、しかもその差が拡大傾向にある。

 このことは、対個人サービス業の労働生産性が他部門に比べて低く、その上昇率が低いことを意味している。

 対個人サービスにもいろいろあるが、例として飲食店を考えてみよう。

 個人経営のレストランや喫茶店をすべてチェーン化し、注文や支払いを自動化して作り置きした料理しか出さないことにすれば、統計上の労働生産性は劇的に高まるだろう。しかも物理的にそれが不可能なわけではない。

 だが、現実にそうなっていないのは、消費者がそれを望んでいないからである。

 私たちは、本能的に「他人に何かしてもらいたい」という欲求を持っている。貧しいときにはそんな贅沢は言っていられないが、ある程度豊かになると、そうした欲求が消費行動に表れてくる。