2つ目がレバレッジの規制です。FXも、レバレッジを25倍から10倍に制限しようと検討しています。しかし、仮想通貨のレバレッジは野放しです。価格の異常な高騰の裏には、レバレッジをかけて投機的な取引をする個人投資家層が、大挙して仮想通貨に参入するという事態が起きていることがあります。

 FXのレバレッジが10倍で、仮想通貨は何倍でもよいというのは整合性が取れません。これは規制した方がよいと思います。

 3つ目として、取引記録が追えない、匿名性の高い通貨の取扱を禁止することも考えたほうがいいでしょう。

「ダッシュ」という仮想通貨を例に挙げると、3人がダッシュを売却した場合、3人分が売却した通貨を一つのプールに入れてゴチャ混ぜにして、別の3人に売り渡す、「コインミキシング」という手法を取っています。

 まさに、マネーロンダリングに使われやすい通貨であり、取引所がこうした仮想通貨を提供している状況を見過ごしてはいけません。

――仮想通貨が発展する上では、ご自身の出身でもある、日本銀行の動向も気になります。日銀の腹のうちはどのようなものなのでしょう。

 ECB(欧州中央銀行)と合同でデジタル通貨の実証実験などをやっていますが、あまりフロントランナーになるつもりはないと思います。

 他の中央銀行が一斉にデジタル通貨を検討し始めたときに困るので、今のうちに実証実験をやっているのではないでしょうか。

 海外を見ると、すでに紙幣がほぼ使われなくなっているスウェーデンでは、18年末にはデジタル通貨の導入の有無を決定するとしています。

 量的金融緩和策も日銀が導入したあとに米国や欧州で始まり、マイナス金利政策も欧州が始めたら日本も導入するといったように、中央銀行は互いに影響を受けあっています。複数の中央銀行がデジタル通貨を導入すると、日本も含め全世界的に、紙幣のデジタル化が一気に進むかもしれません。

――総括として、これから日本の仮想通貨業界に起こり得る懸念は何だと見ていますか。

 コインチェック事件の再燃を心配しています。昨年韓国で、ユービットという取引所で不正流出事件が起きました。そこに至るまでに韓国の他の取引所で不正アクセスがあったのですが、最終的にユービットが狙われました。

「他の取引所のセキュリティーもコインチェックと大差ない」という専門家もいて、ハッカーに「意外に日本の取引所のセキュリティーは甘いぞ」と思われたら、また狙われるかもしれません。今度は金融庁に登録済みの16社が狙われてもおかしくありません。そこで巨額の不正流出が起きたら、金融庁も取引所も、今度こそ言い訳のしようがないでしょう。