ビットコインはバブル、ICOは詐欺、ブロックチェーンは…

 私の関連ベンチャーキャピタル(VC)の投資先であるスタートアップが最近ICO(イニシャル・コイン・オファリング)を行った。

 ICOとは、株式のIPO(イニシャル・パブリック・オファリング=株式公開)をもじったもので、企業が上場して新規に株式を発行する代わりに、トークンと呼ばれる電子的な権利を一般公募で売り出すもの。投資家側は仮想通貨で支払いを済ますという新しい資金調達の仕組みである。

 冒頭のスタートアップは、この仕組みを使い、わずか3日で1200万ドル(約12億円)以上を調達した。オンラインゲームで使われるアイテムの売買プラットホームを提供しており、事業実態があったことに加え、ICOに応じた投資家は、そのトークンを使ってアイテムを売買できるという仕組みが評価された。

 だが、ICOをめぐっては、このような健全な会社がむしろ少数派のようである。

 そもそもIPOの場合は金融関係の法律できっちり規制されており、株式公開をするためには多くの開示責任がある。

 ところがICOでは、事業計画を書いた目論見書をインターネット上に提示して「この事業のトークンを買いませんか」とうたい文句を掲げるだけでよい。目論見書には何の制限もかけられていないので、架空の事業計画で投資を募ることも可能だ。

 そのため、「現在行われているICOのほとんどは詐欺ではないか」と多くの専門家は警鐘を鳴らしている。