会計検査院による森友問題の検査について、財務省に配慮したと思わせる対応が批判されている。元官僚の筆者からすれば、それは当たり前のこと。会計検査院は内閣に対して“独立”の地位を有する特別な組織ではあるが、それは形式的なものであり、財務省や官邸には頭が上がらない組織なのだ(室伏政策研究室代表、政策コンサルタント 室伏謙一)。
「茶番劇」と批判されても仕方がない
会計検査院の検査
国会法第105条に基づき、参議院からの検査要請を受けて行われた「学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査」において、会計検査院が決裁文書の改ざんと、改ざん前の原本の存在を知っていながら、改ざんされた文書を対象として検査を行っていたことが明らかとなった。
これでは何のための検査だったのか。
まるで財務省と示し合わせたアリバイ作りのための“出来レース”、「茶番劇ではないか」と批判されても仕方あるまい。
問題は、会計検査院がなぜそのようなことをしたのかである。それを考えていくと、会計検査院という組織の置かれた立場、制度的状況から来る、避けがたいジレンマが見えてくるように思う。
そもそも会計検査院とは、憲法第90条にその根拠を持つ機関であり、内閣に対して“独立”の地位を有している、特殊かつ特別な行政機関である。
会計検査院には担当の大臣等は置かれず、その任命に国会の同意を要する検査官3名が置かれ、うち1名が互選により院長となる。
ただし、検査官を任命するのは内閣であり、院長についても互選の上、任命するのは内閣である。この検査官の人事、かつてこのうち一人が大蔵省(当時)からの天下りポストの事実上の“指定席”になっていた。