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デジタル時代を勝ち抜くための ビジネスリスクマネジメント

成長している企業は
リスク管理の仕組みも練り上げられている

上原 聖
【第5回】 2018年3月29日
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長期的なビジネス戦略を後押しする
ビジネスリスクマネジメント

 では、ビジネスの成長を促進するリスクマネジメントに向けて、どのような取り組みをすべきであろうか。

 第一に、ビジネスリスクマネジメントは、長期的なビジネス戦略に基づくビジネスモデルの構築やパートナー企業とメリットを享受しあう“Win-Winのアライアンスモデル”の構築などを促進するものでなくてはならない。

 従来のリスクマネジメントとの一番の違いは、将来の市場拡大を予想して、そのリスクがとれるかどうかに焦点を当てることである。例えば、独シーメンスのメガトレンドやネスレのニューリアリティは、超長期の経済・社会の予測を徹底的に行い、そこから逆算する形でビジネス戦略を作り込んでいる。フェイスブックは「率先して発展途上国の人々をインターネットでつなぐ」という長期ビジョンを基に、ビジネス戦略を展開している。

 このように、世界的な先進企業ほど「長期的なビジネス戦略」を考えていると共に、これらの企業経営者は、組織全体としての“リスクテイカー”になることで、長期的なリスクをマネジメントしている。

 その他の事例としては、アマゾンのジェフ・ベゾスは、徹底的に顧客満足度を上げるため、短期的な収益よりも、優れたインフラやサービスへの投資を優先して成功を納めている。このことは、長期的にリスク(顧客満足度の低下)をマネジメントしつつ、成功するビジネスモデルを作るためには、ある程度の資金と時間を要することを示唆している。

 これらの事例で共通する“成功した企業経営者の特徴”は、「将来トップダウンでリスクを取ることができるマネジメント力の強さ」であると言えよう。つまり、短期志向的な企業はリスクを恐れて知の探索を怠り、中長期的なイノベーションが枯渇する一方で、硬直化した大企業の経営陣は、例えば一部の事業は当面赤字でよいという判断をすることは難しく、社内のコンセンサスも得られないため、来年も今年と同じくらい業績を伸ばしていくことを目的とした、近視眼的なビジネス戦略を策定している。このような戦略であれば、従来型のリスクマネジメントで問題はないであろう。

 しかし、激変する経営環境下においては、他社をも含んだ長期的なビジネス戦略の策定と、それを促進するためのリスクマネジメントの仕組み、そして強いリーダーシップの3点が、これからの企業経営に求められるのではないだろうか。

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デジタル時代の目に見えないリスクをどう捕捉するのか。経営の実務に資する「リスクマネジメント」について、調査結果や事例を交えながら解説する。

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