3月3日、人民政治協商会議の第11期全国委員会第5回会議が、続いて5日からは、第11期全国人民代表大会(全人代)第5回会議が北京で開幕した。中国ではいまこの2つの会議(「両会」)に国民の関心が向けられている。
今年の経済成長目標は7.5%――。
全人代の開会式で温家宝首相は、今年の経済成長率目標を昨年の8%から7.5%に引き下げることを明らかにした。7%台になるのは2004年以来8年ぶりのことだ。
ラジオからは「人民の健康を犠牲にする発展ではなく、質を重視した発展だ」と温家宝首相の声が流れる。
経済成長を維持するためには、新たな雇用を創出し、物価や不動産価格の上昇を抑え、国際収支の改善などが欠かせないが、それら難題の解決は容易ではない。地元紙は「7.5%の維持ですら努力を要する」と厳しい現実を突きつける。上海市民も「今までとは時代が変わってきている」と不安を隠さない。
不動産、家具、タクシー、飲食…
じわじわ広がる上海の不景気
上海では春節を過ぎると「不景気」という空気が街を包むようになった。景気悪化の「黄色信号」が、あちらこちらで散見される。
上海の不動産市場は2月、19ヵ月ぶりに平米単価2万元台を割り、1万9831元となった。「限購令」(購入可能な戸数を限定し、不動産価格の過度な上昇を防ぐ政策)が導入されたため、不動産取引には数年前までのような活発さはない。専門家も「上海市場も残物件が積み上がっている」と指摘する。
不動産市況の悪化は家具屋街を歩けばわかる。徐家匯の家具街には、もはや買い物客らしき姿はほとんどない。目に入るのは、店舗からサンプル家具を積み出すトラックだ。家具屋が軒並み潰れているのだ。特に紅木の高級家具屋があちこちで閉店している。