「地域包括ケア」に逆行する成り行きが

 それに対して厚労省は「ケア会議を回避するため、ケアマネジャーが訪問回数を意図的に減らすことがあれば、それは指導対象になる」と断言する。

 今回の訪問介護規制で地域ケア会議の運営を任された自治体の多くは頭を抱えている。「事務量が多すぎて対応が大変」「地域ケア会議にケアプランの中味を検討できるようなメンバーはほとんどいない」という声が早くも挙がっている。地域ケア会議の構成員は介護や医療の専門職も含むと厚労省は示しているが、現実は、町内会長や自治会長、民生委員などが主要構成員であることが多い。

 また、「多頻度の訪問が必要であれば、介護保険サービスの定期巡回随時対応型訪問介護看護(24時間訪問)を使えばいいはず」という声も聞かれる。確かにその通りだろう。「24時間訪問」は、サービス提供の時間や回数に制約がないので、何回もの訪問が必要な利用者に最もふさわしいサービスである。

 ところが、このサービスは全国的には普及していない。1昨年4月時点で全国に事業所はわずか633しかない。1579の保険者(市町村など)のうち1042でサービスが実施されてない。実に66%が空白地である。

 ケアマネジャーが訪問介護から「24時間訪問」に切り替えようとしても、切り替え先が存在しないことが多いのである。

 もし、10月から始まる地域ケア会議でケアプランを検証し、回数削減の提言があると、利用者への訪問回数は減少し、自宅での生活が続けられなく可能性が高くなる。そうなれば利用者は特養や老健など施設への入所を迫られる。

 これは、厚労省の掲げる「地域包括ケア」に逆行する成り行きだろう。「在宅サービスをフルに使い、できるだけ在宅生活を続ける」というのが地域包括ケアの本旨である。日々の暮らしを第一に考えた制度活用こそ介護保険の目的であろう。

(福祉ジャーナリスト 浅川澄一)