「大変でしたね。だいたい女性は40代後半ぐらいから、下痢も便秘もしやすくなるんですよ。あなたの場合は昔から、便秘症だったわけですから、なおさらですね。最近は原因として、腸内細菌のアンバランスとかが注目されていますが、もう一つ大きな原因が大腸の活性低下、動きが悪くなることなんです」

 医師は、腸の状態を描いたイラストを見せてくれた。

「もともと大腸は、約1.5メートルの長さで、5ヵ所の曲がり角をつくることで体内に収まっています。特に左右のわき腹の肋骨下あたりは、ちょうど吊り橋の端と端のような感じで、端っこだけつまんでいる状態なんですよ。加齢によって大腸の筋肉が衰え、内臓を包んで吊り上げている膜もたるんでくると、下垂が起こります。腸が全体的にダラーンと垂れてくるんです。

 年を取ると、顔の皮膚がたるんで、まぶたも目尻も頬っぺたも垂れ下がってきますよね。同じことが身体の中でも起きてくるんです。

 胃下垂ってよく耳にすると思うんですけど、大腸下垂というのもあるんです。本当に下腹がぽっこり出てくるんですね。こうなると、あいだに貯まっている消化物は停滞しやすくなるし、曲がり角では空気が溜まりやすくなって、大腸自体の動きも鈍くなり、便秘になりやすい状況が生まれてしまいます」

 なるほど、身体の表面がたるむ時は、身体の内側だってたるむ。胃がたるめば胃下垂、大腸がたるめば大腸下垂、膣や子宮等がたるめば骨盤臓器脱が起きる。加齢とは、あちこちたるむことでもあるのだ。

 医師はさらに続けた。