抗老化作用があるとして注目されている「レスベラトロール」。赤ワインに含まれるポリフェノールの一種で、酵母の分裂回数(=寿命)を延ばすサーチュイン遺伝子(SIR2)を活性化する成分として発見された。その後、線虫、ショウジョウバエを使った実験でも長寿延命効果があると報告され、俄然、世間が注目。製薬企業も抗老化薬の開発に大金を投じている。

 なぜここまで大騒ぎになったかというと、レスベラトロール-SIR2の作用が、70年以上前から知られているカロリー制限の抗老化作用のメカニズムとよく似ていたからだ。自由にえさを貪る動物に比べ、30~40%カロリー制限をしたほうが寿命は40~50%延び、がんや代謝異常など老化と関連する疾患の発症率が下がることはよく知られた事実。ただ、カロリー制限のマイナス面も無視できないため、安易に勧めるわけにもいかなかった。それと同じ効果が期待できるのでは! と関係者が色めき立ったのも無理はない。だが、である。