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気はやさしくて胃痛持ち
【第7回】 2012年3月14日
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市川純子 [(財)日本ヘルスケアニュートリケア研究所]

しっかり者の妻に家計を握られている夫。
小遣いの少ないことだけは同僚に知られたくない

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 ランチを外で食べた後は安いカフェで同僚と「今度のボーナスは厳しいらしい」「次の人事で同期が何人か早期退職に応募するらしい」「営業の女の子が今度結婚するらしい」とタバコを吸いながら、噂話をした。これも大切な情報交換の時間だった。

 1日1500~3000円。仕事帰りに飲みに行ったりしなくても、そのくらいの出費は当たり前。サラリーマンの必要経費だと思っていたので、それを節約しようとは思ったことがなかった。

 日々のことだけでなくサラリーマンはお金がかかる。社内のゴルフコンペの参加費、歓送迎会の参加費用、クリーニング代、靴やカバンの購入費……。ギャンブルをやらないCさんでもそれなりにお金は出ていった。しかし、結婚前は実家暮らしだったので、お金には無頓着だった。

 結婚してCさんの経済事情は一変した。1日500円と小遣いが決められたからだ。「一戸建てを建てるまで頭金をまず1000万円貯金。それまで頑張りましょう」

 小遣い制の夫は世の中にたくさんいる。でも500円とは厳しい。

 お金のためにCさんは禁煙した。Cさんにとって昼の外食だけでなく、缶コーヒーもペットボトルのお茶もぜいたく品になってしまった。その中で禁煙できたことだけが唯一の救いだ。

 Cさんの妻はCさんの財布を毎朝出勤前にチェックする。財布に小銭が残っていれば、そこに不足分を加えて500円にする。なので帰る前に残った小銭は、デスクの引出しに入れてストックするようになった。1日100円ずつ貯めても1ヵ月で2000円程度にしかならない。それでもCさんは貯め続けた。同僚のお祝いやお香典。そんなときに「手持ちがなくて」とは絶対言えない。

 「親睦会より/○○さんの結婚」。そんなタイトルの社内メールが来るたびにドキドキする。このメールを見るたびに胃が痛みだす。集金に来た女子社員に「1人1000円です」と言われる前に小銭を千円札に両替しておかなければならない。毎日「宝くじが当たれば」と願ったが、その宝くじを買うお金にも不自由していた。

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市川純子 [(財)日本ヘルスケアニュートリケア研究所]

1961年生まれ。財団法人日本ヘルスケアニュートリケア研究所 所長。広告代理店で大手私鉄の広報を担当。その後PR会社に転職し、医薬品や化粧品分野に携わる。2003 年にJ&Tプランニングを設立。代表取締役に就任。研究や情報の開発も行いヒット商品を数多く手がける。医療健康美容分野の研究のために2010年財団を設立。


気はやさしくて胃痛持ち

失われた20年と呼ばれる日本経済。そんな長い停滞のなかをがむしゃらに、ひたむきに日々の仕事・生活を生きてきたビジネスマンたち。さまざまなストレスに耐えてきたカラダもそろそろ注意信号を出す頃。いろんな職場のいろんなビジネスマンのいろんな悩みと不調を少し悲しく少しおかしく紹介します。

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