「努力」なんてしなくていい

 だらだら一日を過ごす原因になっていた疲労の代わりに、持続するエネルギーとストレスからの回復力を得た。慢性の鼻の病気は消え去り、旅したあとは何日もついてまわっていた時差ぼけもなくなった。

 有能になったため生産的な時間が余分にでき、一日の終わりにも、ありがたくとても喜ばしいことにまだエネルギーと意志力を保っていられた。余分なエネルギーのおかげで自分を開発するための勉強に集中でき、脳波図ニューロフィードバックに没頭して自分の脳波を理解し変えることもできた。

 こうした結果がすべて重なり、自分に可能だとはつゆ知らなかったレベルのパフォーマンスにつながった。そして僕は以前より優秀で満ち足りた人間になった。

 これの最大の利点は、努力を要しないことだった。

 期待できると聞かされていたより、はるかに人生が楽になったのは、ほとんど不公平に思えた。脳が冴えに冴え、エネルギー全開になったから、8年後には睡眠導入剤のモダフィニルを飲むのをやめた──もう必要なかったのだ。

 しかし、僕が自らの変化の最大の証拠を見たのは、最初の出会いから10年後、エイメン博士のもとに立ち返って再検査を受けたときのことだ。以前あった問題が消え、脳が高度に機能していたのだ。僕はまだ努力していたが、悪戦苦闘はしていなかった。ハイパフォーマンスの脳は、僕ら人間の生まれながら与えられた権利だと思うようになった。

 それ以後、僕は自分に有効なのと同じテクニックを数万人もの支持者とコーチングの顧客とに用いてきた。あらゆる年代や背景をもつ人たちだ──学生、教師、忙しい親たち、フォーチュン500社の企業のCEO。

 すでにハイパフォーマンスで新たな高みを求める人もいるが、大半は僕がそうだったように、疲労と脳エネルギーの低さに悩まされている。

 パフォーマンスの現在のレベルがどうあれ、これらの人たち全員に2つのことが共通している。求める結果を得るための変化を起こす意志があることと、僕の脳強化テクニックを用いることで迅速に結果を出していることだ。

 人生を変える変化が次から次へと起こるのを目撃した結果、僕はきわめて有効な手法をまとめて、考えられる限り最も迅速でパワフルな結果をもたらす2週間のプログラムを開発することにした。

 何万時間も費やした研究から最も重要な部分を抽出し、実践しやすいノウハウにまとめるのは難しい。だがそれが本書の課題だった。

 それでもあえて僕がこの本を書いた理由は単純明快。人々が、極度の疲労や無駄な努力の心配なしに自由にパフォーマンスを発揮できたら、世界はより良い場所となる、ということだ。そしてそれこそ僕が読者に求めることだ。僕がウォートンで落第しかけていたときや、体にセルライトが浮き出た怒れる19歳だったときに、この本をもらえたらどんなに良かったか。

 いま、注射した造影剤が脳にまわったとき、あなたの脳は完璧なものと映るだろうか?

 それはまずないはずだ。もっとも、たいていの人と同じならば、まあ、平均的なものとしては映るだろう。だがこの本は、パフォーマンスを「まずまず」のレベルにするものではない。もしあなたが毎日の「まずまず」のルーチンに満足しているなら、この本を、本気で実践しそうな友だちにあげてしまって時間を節約してほしい。