結果を出することよりも、
信頼を得ることが大事

岩瀬 僕も仕事は盗んで真似るものだと思っています。
田中さんは、具体的に「仕事ができる人」たちの、どんなことを真似しましたか?

田中 企画のプレゼンテーションなどをする際、僕は上手に説明ができなかった。それを最初は「理解できない上司が悪い」と勘違いしていました。でも、「上司が納得する説明」ってあるんですよね。

岩瀬 今の田中さんはプレゼンが上手なので意外ですね。何か印象に残った「入社1年目の失敗」ってありますか?

田中 周りから信頼を得ることって大事だなと痛感する出来事がありました。 「こういう仕事がやりたいんです!」って提案することがありますよね。でも、その仕事が自分に回ってこなかったんです。「なんで自分に仕事が回ってこないんですか?」と聞いたら、上司にこう言われました。「お前は周りの人からの評判が悪い。そういう人間に仕事を任せることができない」

岩瀬 え、評判が悪かったんですか?

田中 恥ずかしながら当時の僕は、「仕事の結果を出していればいいじゃん」と思っていました。先ほどのプレゼンの話と同じ発想ですよね。

   でも、そうは言うものの、上司からしてみれば、自分の「あまたいる部下の中からなぜ田中にやらせるか」という理由が必要なんですよね。

  仕事って誰がやってもできるもののほうが多いと思うんです。特に新人の頃は。そういう意味では、結果を出せるヤツなどいっぱいいる。となると、上司にとって使いやすいヤツが、仕事を任せてもらえるヤツなわけですよね。

岩瀬 それからいい人になったんですか(笑)?

田中 というより、上司が周りに田中を使うことを説明しやすいような「信頼関係」を作らなければダメだなと思ったんです。