この2月10日、東京証券取引所マザーズ市場へ上場承認されたライフネット生命保険。戦後初の独立系生命保険会社である同社の保有契約件数は10万件(2011年12月末)を突破。副社長である岩瀬大輔氏は準備期間から1年半という短期間で132億円もの資金を集めるとともに、多くの人材をも引き寄せ、“ネットで保険が買える”という新しい生命保険の形を実現した。この右肩上がりの成長企業の源泉は他業種からの積極採用と、常に人と異なる戦い方ができる点にフォーカスした人選にあった。岩瀬氏自身も元ボストン・コンサルティング・グループという、日本の保険会社においては希有なキャリアの持ち主。「経営請負人の時代」第11回は“番外編”として、向かい風ばかりの今の時代に成長し続けるための情報と仲間の集め方に迫った。

ベストパートナーは
ミスマッチの中に隠れている

いわせ・だいすけ
1976年埼玉県生まれ。1998年に東京大学法学部を卒業後、ボストン・コンサルティング・グループ、リップルウッド・ジャパン(現RHJインターナショナル)を経て、ハーバード経営大学院に留学。同校を日本人では4人目となる上位5%の成績で卒業(ベイカー・スカラー)。2006年にライフネット生命保険の設立に参画。2009年2月、代表取締役副社長に就任。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2010」選出。

南 出口治明社長と岩瀬さんの2人で始めたライフネット生命は多くのスタッフが外部登用ですよね。出口社長こそ日本生命の元幹部ですが、岩瀬さんは元ボストン・コンサルティング・グループ。さらにIT企業出身者や敏腕マーケッターまでが揃う。各界のプロフェッショナルの集まりですよね。

岩瀬 多様なバックグラウンドはベテランから若手に至るまで共通していますね。大手でキャリアを重ねた保険のプロから、保険と全然関係のないフィールドで活躍していた人までが一緒に働いて、それぞれに成果を出しています。

南 保険業界という、やや堅いと言われている業界において、そうした方針はどうやって築いていかれたのでしょうか?

岩瀬 社長の出口の方針でもあります。彼は日本生命保険で企画部や財務企画部などエリートキャリアを歩み、生命保険業界からも支持が厚い。つまり、その気になれば後輩を集めて下請け会社を作ることも不可能ではなかったのです。でも、彼はとにかく自分と真逆の人と組みたいということで一貫していました。自分は歳もとっているし、保険のことはよく知っている。だからこそ、若くて生命保険のことをまったく知らない人と新しいことをやりたい、と。

岩瀬 そして当時30歳の僕を選んでくれた。だから“ミニ日本生命”のような会社にならずに独自性を出すことができたのです。そうした思想に共感していただけたからこそ、三井物産、新生銀行、セブン&アイ・ホールディングス(現セブン・フィナンシャルサービス)他から132億円もの資金を調達することも可能になりました。トップがそういった調子なので、社員もどちらかといえば通常の生命保険会社には「ミスマッチな存在」が揃っています。