金利ゼロの現代はマルクスが予見した「成長の限界」に近づいている

 いったい利子はどこから生まれるのだろうか?

 お金を貸せば利子が生まれることは、少なくとも現在のわれわれには一般的常識だ。

 だがその金利がゼロというのはどういうことか。

 それは、資本が自己増殖を続ける資本主義経済で、資本があり余った状態、つまり資本主義が新しい段階に入る胎動を示しているのかもしれないのだ。

利子はどこから生まれる?
生産による利潤の一部

 基本的なことから考えてみよう。利子とは何なのか。

 借り手がいなければそもそも利子など成立しないはずだ。お金を貸したいという「貸し手」と借りたいという「借り手」がいれば、なるほど利子は自然に生まれるように見える。

 だから、利子は「借り手」と「貸し手」との需要と供給の関係から生まれるように見える。しかし、「借り手」が借りたお金を貯め込んで、生産に投資しなければ、利子など生まれるはずがない。利払いに回す原資がないのだから。

 こう考えると、借りた以上は利子を支払わねばならないという点から生じる利子の発生の問題と、利子がどこから生まれるかという利子の起源の問題はまったく違うことがわかる。