最近、「長い会議は時間の無駄」と考える人が増えはじめていますが、短ければいいとは限りません。開催するなら参加者が活発な議論を交わし、有意義な時間にしたいもの。それができないならメールで済ませればいいはずです。
ところが、「時間の効率化のため」という理由で、発言は業績の上位者だけと決めた職場があるといいます。では、業績が上位でなく、発言権のない人たちは、何を目的に参加すればいいのでしょうか?今回は、効率化を追い求めたがために、会議の本質を忘れてしまった職場のギャップについてご紹介したいと思います。
毎週会議の日は終電ギリギリに…
長い会議で部下を徹底的に詰める営業課長
残業時間の短縮が求められるようになった昨今、多くの職場で会議時間も短くなる傾向にあります。よって、会議をいかに短くできるか、その手法を紹介するビジネス書をたくさん見かけるようになりました。そうした本のなかでは、
(1)アジェンダを設定すべし
(2)議事録係を決めるべし
(3)時間を小分けすべし
といった一部の外資系企業では当たり前の時間管理法が紹介されており、現在、日本企業のあちこちでも実践されつつあるようです。
こうした取り組みで残業が減って、会議が効率的になることは素晴らしいこと。ただ、日本中の企業を見渡すと未だに古典的な長い会議を行っているケースが少なくありません。今回の舞台となるK商事も以前の営業会議はエンドレスが当たり前、社員は終電にギリギリで飛び乗る状態でした。
会議が長くなる要因は、すべての商談を事細かにチェックする上司の存在にありました。以前は営業として現場で名をはせたM課長(40歳)は、頑張る姿勢を大事にするタイプ。
「お客様をトコトン知ることが大事。それこそが営業の原点」と、会議では部下にお客様情報の把握状態を詰めます。「決裁に関わる関係者をすべて述べよ」と質問して部下が曖昧な回答をすれば、「ヒアリングが甘い、何でできないのだ」と徹底的に攻撃します。部下が疲弊していても許しません。そんなグッタリする会議を長年行い、好業績を導き出してきたのです。