しかもマネックスは自社で仮想通貨交換業を始めることを念頭に、昨年12月に「マネックスクリプトバンク」という子会社を設立していたが、登録業者への認可に時間がかかるとの考えもあってか、事件の当事者であるコインチェックを傘下に収める戦略に打って出た。今後は金融庁との「対話」もさることながら、コインチェックが「実効性のある経営管理体制を築いていけるか」(金融庁)という視点で「監視」される側面の方が強くなると言えるだろう。

 2つ目に関しても、既存の大手グループの名を冠するまでもなく、仮想通貨投資は既に大きな広がりを見せている。というのも、コインチェックだけで口座数は170万にのぼり、これはマネックスが20年かけて築き上げてきた口座数とほぼ同規模だ。日本全体を見れば、円建てのビットコイン取引のシェアは、世界でも首位を争うほど多い。

 さらに言えば、SBIグループやGMOグループの子会社は、それぞれ登録の認可を既に昨年9月に受けており、マネックスは後発組に過ぎない。買収会見でもコインチェックについては「世界的な先駆者であり、世界的なブランドがある」として、サービス名などを変えない意向を示している。

全金融取引をブロックチェーン上で
世界的なコンソーシアム設立構想も?

 このように、当初の2つの目論見は変化した可能性も否定できないが、松本社長はさらに長い目で見た構想も口にしていた。6日の買収会見でも「新しい時代のお金との付き合い方をデザインする、というのが創業以来の理念」と語ったように、中長期的な目標はそう簡単に変わるものではないだろう。昨年11月のインタビューでは以下のような思いを吐露していた。それが3つ目の“野望”だ。

「やる以上は当社の金融取引がブロックチェーン上でできる、というだけでなく、日本や世界中の株式取引や債券、投資信託などの取引がブロックチェーン上で安全にできることに意味があります」

「そうした新しい世界を当社がリーダーとなって作るのは、夢というかビジョンではありますが、実際はそんな簡単なことではない。他の会社がそれを実現するかもしれないし、そこまで大きい話だと1社の問題でなく、世界的な証券会社のコンソーシアムみたいなものでブロックチェーンを作っていくことになるかもしれない」