「新たな挑戦」宣言!
飛竜の精神で「再び世界」へ

 12年間テニスから離れていたとき、伊達さんが気づいたことがありました。
 それは「自分はテニスが好きで好きで大好きだった」ということ。
 これに気づくための12年でした。

 でも、気づいてから現役復帰までの決断がまた早い。
 もともと勇気があり希望に向かって困難にも立ち向かっていく果敢な精神の持ち主の雷の三碧は、決意したらやることは早いのです。

 伊達さんのプロテニスプレーヤーとしての再チャレンジは、周辺からは30代後半という年齢的なものが危惧されていましたが、ご本人にとっては小さい壁にすぎなかったようです。

 むしろ年齢を逆手にとって、再チャレンジのエネルギーにしていたのではないかと思われるくらい、その後の躍進は目を見張るものがあります。

 2008年4月に現役復帰宣言。
 その記者会見で復帰の理由をこう語っています。

「世界と戦うためではなく、若い選手へ刺激を与えるため」

 奇しくもこの言葉は早々に現実のものとなります。
 雷の三碧は結果を出すのも早いのです。

 2008年にはカンガルーカップ国際女子オープン(岐阜)準優勝。東京有明国際女子オープン、シングルス優勝、ダブルス優勝。2009年からは国際舞台にも再チャレンジしていきます。

 特に2011年のウインブルドン2回戦、ウインブルドンを過去5回制したかつての女王ビーナス・ウイリアムズとの対戦は記憶に残る試合でした。

 3時間にもおよぶ熱戦の末、伊達さんは敗れましたが、センターコートの会場からは惜しみない拍手が送られました。

 そして、2017年9月引退発表。
 現役復帰の2008年と第二の引退の2017年は伊達さんにとって「陰2年」、「七赤の部屋」の年にあたります。

 つまり実りの秋、心を充実させて物事に望む2008年であり、自己成熟させて「結果」を見極めた2017年だったのです。