この春、飲料業界が相次ぎ“勝負商品”を投入する飲料カテゴリーがある。炭酸飲料だ。
先陣を切るのはサントリー食品が3月27日に発売する「オランジーナ」(写真)だ。「うちは炭酸飲料の通常の新商品の約2倍の量をすでに発注している」(大手小売チェーンバイヤー)と、販売側の期待は大きい。
オランジーナは、2009年にサントリーホールディングスが約3000億円を投じて買収したフランスのオランジーナ社の看板商品で、同国ではコカ・コーラを凌駕するほどの知名度とシェアを持つ。柑橘果汁が12%含まれていて甘さは控え目の微炭酸。オレンジピールや食物性繊維も入り「朝食のオレンジジュース代わりにもなる、20代から40代の男女をターゲットにした大人向けの炭酸飲料」(サントリー)だ。
日本ではあまり知られていないが、ヨーロッパを中心に60ヵ国で年間2000万ケースも売れる“お化け商品”なのだ。
今回日本で発売される商品は、フランスとほとんど同様の製法で作られ、容器もフランスで売られているひょうたん型の小瓶を模した専用ペットボトルを新たに開発した。「フランスの国民的飲料」を旗印に、大々的に拡販に乗り出す。新しいブランドとしては異例の200万ケースという高い出荷目標を掲げている。
もう一つ、流通業界で話題になっているのが、キリンビバレッジが4月末発売を予定している「メッツコーラ」だ。特定保険用食品(トクホ)史上初めて認可された“コーラ”である。ターゲットは、メタボリックシンドロームが気になる年頃の30代以降の男性。食物繊維の一種である難消化性デキストリンという成分が入っており、脂っぽい食事を採っても食後の中性脂肪の上昇を抑制する効果を謳っている。価格も480ミリリットルで150円と、トクホにしては異例の低価格を打ち出し、勝負に出る。
アサヒ飲料も、食後の血糖値上昇を抑える効果のある「三ツ矢サイダー」が昨年末にトクホ認可を受けており、近く発売する模様だ。